文 マンティー・チダ
卓球のノジマTリーグは、9月10日に大田区総合体育館で2022-2023シーズンが開幕。女子の開幕戦は、5連覇を目指す日本生命レッドエルフが木下アビエル神奈川を4-0のストレートで下し、勝ち点4を獲得した。
第3マッチでは、ノジマTリーグ初参戦の#99伊藤美誠(スターツ)が#14平野美宇を3-1でリーグ戦の初陣を勝利で飾ると、第2マッチに出場した#18早田ひなも#1木原美悠との高速ラリー戦を制した。両エースがしっかりと自分の役目を果たして好スタートを切ったのだが、この試合で勝利に大きく流れを呼び込んだのが、第1マッチのダブルスだった。
Tリーグは今シーズンで5シーズン目を迎えるが、第1マッチのダブルスを勝つと、チームの勝利に近くなるというデータが残っている。その傾向がまさに女子の開幕戦で発揮されたことになった。
これで今日の試合が決まったのではないですかね
「これで今日の試合が決まったのではないですかね」と総括したのは、日本生命レッドエルフの村上恭和総監督。そして、第1マッチのダブルスを託されたのが、#8麻生麗名と#5笹尾明日香だった。
一方、対戦相手の木下アビエル神奈川は、長﨑美柚と木原美悠のペア。「ダブルスは絶対に勝たないといけない。狙うという気持ち」と中澤鋭監督が満を持して送り出していた。
「4月からダブルスの練習をさせた。開幕戦の出場は2週間前に伝えた(村上総監督)」という状況の麻生/笹尾ペアに対し、長﨑/木原ペアは2019年に世界ジュニア選手権、ITTFワールドツアーグランドファイナルでは優勝するなど、これまで国内外の大会で実績を残している。
「ダブルスは相手が日本で一番強いではないですか。ここは勝てないだろう」と村上総監督の想定とは違い、試合は序盤から麻生/笹尾ペアがペースを握っていった。
第1ゲーム、まずは笹尾が見せ場を作る。1-1からサーブで連続加点に成功すると、4-2からは得意の3球目フォアドライブで6-2までリードを広げた。麻生も3球目攻撃で得点するなど、このゲームを11-6で先制。
第2ゲームでは、長﨑/木原ペアに巻き返されて、一時は3-6までリードを広げられるが、笹尾の3球目攻撃、麻生もカウンターで追撃態勢を整えると、麻生のロングサーブなどで9-10の1点差に。長﨑/木原ペアにタイムアウトで間を置かれるが、麻生/笹尾ペアの勢いは止まらず、一気に11-10と逆転勝ちでこのゲームも獲得し、ゲームカウント2-0のストレート勝ちを収めた。
「うちのダブルスは台上が強み(中澤監督)」に対して、日本生命レッドエルフの麻生/笹尾ペアは、サーブからその強みを消していった。
「サービスの長さとか、(サーブは)2本ありますから。コンビネーションですね(村上総監督)」とサーブの出来が勝敗を分けることになった。「長﨑とダブルスで対戦をするのは大変ですよ。長﨑用で調整したというのはあります」と村上総監督は昨シーズン、日本生命レッドエルフでともに戦った長﨑の「特別なレシーブ」を警戒していた。「彼女(長﨑)が良いレシーブをできないような封じ込めができた」とチームにしてみれば会心の勝利だった。
日本生命レッドエルフは、第1マッチを勝利したことで大きな流れを掴むことができた。第2マッチ以降の早田、伊藤の両エース、さらにTリーグ初出場のリ ジャイものびのびとプレーして石川佳純をストレートで下し、チームとしては勝ち点4を獲得。リーグ5連覇へ最高のスタートとなった。
「レギュラーシーズンでは個々に集中力を高めて、実力をつけてからファイナルで確実に優勝を決める」
村上総監督は、試合後のインタビューで淡々と優勝宣言。シーズン残り19試合。今シーズンも日本生命レッドエルフが優勝争いの中心となるのは間違いなさそうだ。