【関東大学サッカートーナメント大会】流通経済大学が壮絶な戦いを制してトーナメント初制覇

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サッカー
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文 マンティー・チダ

「アミノバイタル®」カップ2020 第9回関東大学サッカートーナメント大会は3日にAGFフィールド(東京都調布市)で決勝が行われ、流通経済大学が早稲田大学を延長戦の末に3-2で制し今大会初優勝。

一旦は早稲田大学に勝利を手繰り寄せられると思われたが、流通経済大学が驚異的な粘りから土壇場で追いつき、延長で勝ち越して決めたタイトル獲得だった。

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後半アディショナルタイムで追いついた流通経済大学が壮絶な戦いを制する

序盤から流通経済大学が攻めて、早稲田大学が受ける形で試合は進む。

ゴール前まで持ち込む流通経済大学に対して、早稲田大学#5杉山耕二や#22監物拓歩ら最終ラインがチャンスの芽を潰し互角な展開に持ち込む。

後半残りも少なくなって、このままスコアレスで延長に向かうのか思われたところで試合が動く。

88分、早稲田大学が流通経済大学のハンドからPKを獲得。

これを#10加藤拓己が右隅にゴールを決めて1-0と先制に成功。

この時点で早稲田大学が逃げ切ると思われたが、アディショナルタイムを迎えて流通経済大学がラストチャンスとなるところでドラマは起こった。

今度は早稲田大学がハンドを取られ、流通経済大学はPKの権利を獲得。

キッカーはキャプテンの#10伊藤敦樹。

「何も考えないで、コースを決めて蹴りました」と心に決めて、左隅にPKを蹴り込んで同点としたところで後半終了の笛が鳴り、勝負は延長戦に持ち込まれる

延長前半5分。流通経済大学は同点に追いついた勢いそのままに「こぼれ球を狙っていた」と話す#9加藤千尋が、バーに直撃しながらも右足でシュートを決めて勝ち越しに成功。

さらに14分には途中出場の#13伊藤隆人が抜け出して追加点を獲得し、これが勝負の決め手になった。

後半アディショナルタイムに早稲田大学#13杉田将宏に得点を決められるが、そこで試合終了のホイッスル。流通経済大学が壮絶な試合を制した。

「最後まであきらめない気持ちを持ち続けたことが結果につながった」

早稲田大学が後半43分にPKで先制するまでは、0-0で延長戦に向かうのだろうという流れだったし、PKが決まった段階で早稲田大学がタイトルを獲得するものだと思われていたが、流通経済大学は最後まであきらめていなかった。

流通経済大学の伊藤敦樹は「非常に難しい展開の中で先制されて、最後までみんながあきらめない気持ちを持ち続けたことが結果につながった」と試合全体を振り返る。

勝ち越しのシュートを叩きこんだ加藤千尋は「ずっとこぼれ球を狙っていたので、良いところに来たなと思いました。シュートに関しては枠に入れるということだけを考えていてたまたま入った。ラッキーかな」とした。こぼれ球を狙っていたことで生まれたゴールと言っても過言ではない。

「まだ時間があったので、本当にあきらめない気持ちでやっていました。この試合は難しい試合になるだろうと考えていた」と試合中の心境を明かす。

ベンチと反対側のスタンドに目を向けると、ベンチに入れなかった選手を中心に大勢の応援団がこの試合を見守っていた。

「両親や家族、そしてベンチに入れなかった200人近くの選手の力は大きかった」と選手にとっても大きな励みとなっていた。

チームへ精一杯応援し続けた人たちにとってもこのタイトル獲得は喜びもひとしおだろう。

「シンプルに流経さんが強くて、うちが弱かったというただそれだけ」

一方の早稲田大学は、タイトル獲得があと一歩でするりと抜けてしまった。

「あの時間帯で得点ができたのでゲームをどう締めるのかということでしたが、我々としてはより注意深くやらないといけなかった。それはピッチ上のメンバーたちもそれを感じていた。ハンドでPKを獲得したことで、より気を付けるべきだった。あそこで得点したことによって、我々も緊張が切れてしまったのかなと。カウンターの受け方もそうでしたけど、あの時に得点したことでそういうスキが生まれてしまったのではないだろうか」と早稲田大学外池大亮監督はその場面をこう捉えていた。

先制点を叩き出した加藤拓己は後半終盤でベンチに下がり、試合の最後までピッチに立つことができなかったのである。

「正直、最後までピッチの上にいて優勝の瞬間を迎えたかったという想いはありましたけど、これは監督の判断ですし、そこを選手はリスペクトをしないといけない。自分たちのやりたいことをリスペクトしてくれる監督なので、自分たちも監督に対してリスペクトはありますし、そこに対して不満というものはない。チームのための交代だと思っていました」と納得の交代だったようだ。

試合は終了のホイッスルが鳴るまで続いている。

まさにそれを実感させられた決勝戦だった。

「ラストワンプレーで得点を取り切る勝負強さ、延長前半で2点を取ってくる辛抱強さや前への推進力をやりきったことで、今日の試合は流通経済大学が勝ったなと思います」

そして、加藤拓己が口にしたコメントがこの試合のすべてを表している。

「シンプルに流経さんが強くてうちが弱かったというただそれだけ」

この言葉はまさにピッチ上で戦った選手たちにしかわからない肌感覚だろう。

流通経済大学が試合の最後まで得点することにこだわりを持ち続けたからこそ獲得できたタイトルだったことを。

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