文 マンティー・チダ
ノジマTリーグ、木下マイスター東京は10月10日の段階で、7戦全勝、勝ち点22の首位を走っている。各チームで試合消化に差があるものの、チームそのものが好調であることに間違いはない。
選手に目を向けてみると、#2及川瑞基の成績が突出している。シングルスは9戦全勝、ここまで負けなしは、松平健太(T.T彩たま)と2人だけだ。
及川は今年の全日本選手権を初めて制覇し、過去にはドイツ・ブンデスリーガ1部のケーニヒスホーフェンに3シーズン在籍していたこともあった。ドイツの皇帝と呼ばれるティモ・ボルに勝利した経験もある。
専修大学を卒業後、及川は昨シーズンから木下マイスター東京に所属し、今シーズンはTリーグ2年目のシーズンを戦っていた。
冷静にサーブやショットの見極めをしていた
10月10日の琉球アスティーダ戦では、第2マッチで有延大夢と対戦。有延とは、9月23日のビクトリーマッチで顔を合わせていて、及川は1ゲームマッチながら11-5と有延を下していた。
その時の有延は第4マッチを完勝したことで、マッチカウント2-2となり、チームも有延も勢いそのままにビクトリーマッチへ臨んでいた。
有延のサーブで試合が始まり、及川のレシーブから有延は3球目のフォアをここしかないというコース取りで、先制点と思われた。
ところが、及川が有延の球筋を見極めたようなスイングでカウンターに成功すると、その後はラリー戦となり、及川が先制点。この勢いで、及川は連続得点を重ねてビクトリーマッチを制し、チームの連勝記録を伸ばす貢献をみせていた。
その時以来の顔合わせとなったこの試合。序盤にリードをしていたのは有延だったが、及川は慎重に有延の球筋を見極めていた。
2-4と先行されていたところから、5連続得点で逆転すると、このゲームは11-9で制する。第2ゲーム以降も11-5、11-9として、ゲームカウント3-0のストレート勝ち。及川は連勝記録をさらに更新していた。
「出だしから慎重に試合を進めていたので、そこが良かった」
「自分のやるべきことをやろうと思って、試合に入りました」
個人としても、チームとしても、ここまで無傷の連勝としていたが、台上の及川は慎重だった。
「有延選手は両ハンドとも強打がすごいので、(相手の)ストライクゾーンで打たせないとか、相手に100%で打たれないようにしようと。出だしから慎重に試合を進めていたので、そこが良かった」と及川は話す。
レシーブについても「前回の感じから良いイメージを持っていましたが、相手も前回とは違うサーブを出していたので、少し戸惑いはありましたけど、途中からしっかり自分が対応して調整すれば大丈夫」と前回の勝利から生まれた自信が、こうした冷静さを生み出していたようだ。
この日のように、及川が有延戦で見せた冷静さと適応能力の高さがもたらす守備力にさらなる磨きが掛かれば、及川も木下マイスター東京も、リーグタイトル奪取に向けて、視界良好となるだろう。