文 マンティー・チダ
NTTリーグワン、クボタスピアーズ船橋・東京ベイは秩父宮ラグビー場でシャイニングアークス東京ベイ浦安と1月15日に対戦し、19-9で勝利。第1節を新型コロナウイルス感染症ガイドラインに基づき、埼玉パナソニックワイルドナイツに不戦勝。事実上の開幕戦を迎えていた。
スピアーズがファンデンヒーファーのPGなどで競り合いに終止符
試合の序盤からタフな展開となった。シャイニングアークスにファーストスクラムのコラブシングからペナルティゴールで先制を許すが、スピアーズは前半7分、敵陣でペナルティを獲得するとタッチキックでインゴール前まで接近。
ラインアウトからモールを選択すると、一時はシャイニングアークスに押し返されるが、シャイニングアークスにオフサイドが宣告されて、迷わずスピアーズはペナルティゴールを選択。FBゲラード・ファンデンヒーファーがこれをきっちり決めて、3-3の同点とする。
その後は、互いに攻め込み切れない展開となるが、そこで均衡を破ったのはスピアーズだった。18分、敵陣インゴール前のラインアウトモールから、FLトゥパフィナウが飛び込んでトライ。ファンデンヒーファーもコンバージョンキックを決めて、10-3とリードを広げた。
終盤を迎え、スピアーズはペナルティを重ねて、シャイニングアークスに自陣へ攻め込まれる時間帯となるが、失点をSOオテレ・ブラックのペナルティゴールに抑え、10-6で前半を折り返す。
後半に入っても、前半からのタフな流れが続き、序盤から互いにペナルティゴールで加点。スピアーズはシャイニングアークスにインゴールまで攻め込まれるが、タックルで応戦し、シャイニングアークスにトライを許さない。
苦しい時間帯をしのいだスピアーズは、ディフェンスからマイボールとし、敵陣インゴール前でシャイニングアークスからペナルティを獲得すると、ファンデンヒーファーがペナルティゴールを成功させて、点差を広げていく。
トライはわずか1本に終わったものの、チャンスを確実なものとしたスピアーズがシャイニングアークスを退けて、1週間遅れの開幕戦を勝利で飾った。
お互いに競り合うのもラグビーですから
スピアーズは、リーグワン先出し開幕戦でワイルドナイツと国立競技場で対戦予定だったが、新型コロナウイルス感染ガイドラインで試合中止となり、勝ち点5を獲得していたものの、1週間遅れで開幕戦を迎えていた。相手のシャイニングアークスは、第1節でコベルコ神戸スティーラーズと接戦の末に勝利を飾り、連勝を狙ってホストゲームに挑んでいたのである。
「タフな試合で、どちらが勝ってもおかしくない展開でした」
こう切り出したのは、この日のゲームキャプテンで先日の日本代表では主将を担っていた、FLピーター・ラピース・ラブスカフニ。「チャレンジを楽しめた」と続けるラブスカフニは、チームの仕上がりに自信を持っていた。
「プレシーズンも悪くなかったですし、準備が出来ている事は明らかでした。楽しみなども見えていたので、一週間ずれてしまいましたけど、しっかりできるのはわかりました」とラブスカフニは続ける。
序盤からタフな展開となり、ラインアウトからモールを仕掛けても、シャイニングアークスに押し返される場面もあったが、グラウンド上に立っていたスピアーズの選手たちは、常に相手ではなく自分たちにフォーカスをし続けていた。
前半の終盤にはペナルティを重ね、シャイニングアークスから自陣に攻め込まれる時間帯が続く。トライを奪われてもおかしくない展開だったが、なんとかブラックのペナルティゴールのみに抑えて、スピアーズはピンチを切り抜けていた。
「どちらに転がってもおかしくない点差でしたし、お互いハードワークをしてチャンスをものにする、チャンスを作るということで自分たちが点数に変えられた。競り合うのもラグビーだと思いますし、そこに自分たちが対応できたこと、試合に出られて楽しめたこと、ファンの方もいましたし、プレシーズンから一緒にやってきたチームメートとここで戦えたのが良かった」とラブスカフニは、改めて試合を総括。「まずは自分たちにフォーカスをしていますので」とあくまでも自分たち次第であることを強調した。
「チャレンジが大きければ大きいほど、やりがいはある」
スピアーズは昨シーズン、最後のトップリーグで台風の目となり、プレーオフ準決勝まで進出するなど、大きくステップアップできたシーズンだった。今度はリーグワン初代王者に向けて、自分たちへのフォーカスを全うできれば、相手がどこであろうとも関係ないのだろう。あとは、それを続けられるのかがカギとなる。