文 マンティー・チダ
NTTリーグワン、ディビジョン2の三菱重工相模原ダイナボアーズは3月19日、相模原ギオンスタジアムで日野レッドドルフィンズと対戦。CTBマイケル・リトルの攻守にわたる活躍で33-17と快勝し、ダイナボアーズは開幕8連勝とした。
マイケル・リトルが攻守で躍動、スクラムではフランカーで代役も
序盤から相手インゴール手前まで攻め込んでいたダイナボアーズは、インゴールまで攻め込むもノックオンやスローフォワードで詰めが甘くなり、先制点までは結びつかない。しかし、前半11分にCTBマイケル・リトルが、レッドドルフィンズのパスが乱れた隙を狙ってボールを奪うと、そのままインゴールまで駆け込み先制に成功した。
レッドドルフィンズにペナルティゴールで3点を返されるが、ダイナボアーズは21分、ラックから左サイドに展開し、先制トライとしたリトルがWTBアライアサ空ローランドに飛ばしパスを供給して追加点をお膳立て。27分には、SO石田一貴のラインブレイクからサポートしたリトルがパスを受けると、そのままインゴールまで走り込んでこの日2本目のトライ。35分には、アライアサにも2本目のトライが生まれるなど、ダイナボアーズは28-10で前半を折り返した。
後半に入ると、一転してダイナボアーズは自陣での戦いに迫られるが、リトルがレッドドルフィンズWTB川井太貴のトライを止めるスーパープレーでチームのピンチを救う。
18分には、主将のNo.8ヘイデン・ベッドウェル=カーティスがイエローカードを貰い、シンビンが適用されて10分間の退場となる。ダイナボアーズは14人で戦うことを強いられるが、リトルがこのピンチを救った。レッドドルフィンズの5mスクラムからNo.8堀江恭佑に突破を許したが、リトルが堀江の下に潜り込むようなディフェンスでトライを止める。
FWも7人となったことから、スクラムも7人で組まざるを得なくなり、レッドドルフィンズに押し込まれたことでペナルティトライとされると、WTBのリトルはその後のスクラムでフランカーの位置に入る。ダイナボアーズは、リトルを含めスクラムを8人で組んだことでピンチを脱し、シンビンを終えたヘイデンがグラウンドへ戻り15人になると、ようやく敵陣へ攻め込めるようになった。
リズムを取り戻したダイナボアーズは、リトルのオフロードパスを受けたWTB川上剛右がゲインすると、最後は途中出場PR石井智亮のトライで勝負あり。厳しい時間帯をディフェンスで凌いだダイナボアーズが、レッドドルフィンズを33-17で下し、開幕から8連勝を飾った。
「リトルのスクラムはまあまあ。来週、スクラムの練習に参加しないといけないかな(笑)」
今節は、得点源であるタウモハパイホネティやベン・ポルドリッジの両WTBを欠いた布陣となった。レッドドルフィンズも入れ替え戦出場へ負けられない一戦となることから、ダイナボアーズとしては厳しい戦いを覚悟していた。
グレッグ・クーパーHCは「完璧な試合ではなかったし、やりたいこともできませんでしたが、そういう試合もよくあること。ディフェンスで粘った後にトライも取れたので、すごくうれしい」と勝利を噛みしめた。
ホネティやポルドリッジ不在であっても「アライアサ空ローランド、川上剛右両選手、後から入ってきた日本人選手も素晴らしいプレーをしてくれた。それが僕たちの強み。誰が入っても仕事ができるチームになっている」とチームの底上げに手応えを掴む。
後半、主将のヘイデンがシンビンで退場となり、FW7人で10分間を凌がないといけない時間帯があった。ダイナボアーズはレッドドルフィンズからその隙をつかれて、自陣での戦いに迫られるなどピンチの連続だったが、これを救ったのがリトルなのである。FWの一人としてスクラムを組んだことで、結果的に悪い流れを断ち切ることに成功した。
グラウンド外から見ていたヘイデンは「リトルのスクラムはまあまあ良かったかな。来週、スクラムの練習に参加しないといけないかな」とジョークを飛ばすものの、「自分のシンビンは、同じエリアで何回もペナルティを起こしたことが原因だった。しかし、14人になってもみんな素晴らしいディフェンスをしてくれたので、チームを誇りに思います」とチームメートを称えた。
ダイナボアーズは、厳しい時間帯でも全員守備で乗り切ったことで、念願の最速ディビジョン1昇格まであと一歩と迫った。あと2勝すれば、今シーズンを全勝で終えることができる。ケガ人が戻ってくれば、ダイナボアーズは最高の状態でリーグ戦終盤に向かいそうだ。