文 マンティー・チダ
BリーグB2に所属するアースフレンズ東京Z(以下東京Z)は27日、大田区総合体育館でライジングゼファー福岡(以下福岡)と年内最後の試合で70-91と完敗。
第11節の青森戦から7連敗となった。
GAME2はターンオーバーの多さにファウルトラブルが絡み敗戦
前節では東地区首位を走る群馬クレインサンダーズと対戦し連敗はしたものの、良い兆しが見えた中で迎えた年内最後の試合、福岡戦だった。
昨シーズン途中から指揮を執るジョゼップ・クラロス・カナルスHC(通称ペップHC)率いる福岡のプレッシャーディフェンスに対して、東京Zはどこまで対応できるのかがこの試合のポイントだった。
結果としては、2試合とも完敗。
その裏付けとしての数字がターンオーバーに表れていた。
GAME1の26日が29個,GAME2の27日が23個とお世辞にも決して褒められる数字ではない。
GAME2に至っては前半だけで16を数え、#2栗原翼、#10岡田優介、#52アレクサンダー・ジョーンズが前半だけで個人ファウルを3回コールされ、ファウルトラブルにも陥っていた。
先日合流したばかりの#33カイル・バローンも戦線離脱していたことから、外国籍選手のやりくりにも苦心し、じりじりと福岡に点を離されて31-45と14点ビハインドで前半を終える。
後半から巻き返したい東京Zだったが、出だしから重たい雰囲気となり、残り4分付近まで得点をすることができない。その間、福岡にタフな戦いを強いられて、気が付けば41-69と28点まで差が広がった状況で3Qを終える。
4Qに入ると、東京Zは岡田が得意の3pを沈めた後、バックコートでスティールからゴールまで一目散に走ってファストブレイクを決める。
ここから東京Zは状況を打開しようとしたが、福岡のディフェンス強度の高さが続いたこともあって、追い上げ体制に持ち込めなかった。
終盤に向けて栗原が意地をみせて点差を詰めたものの、70-91と福岡に完敗だった。
「岡田やアレックスに頼り過ぎればこういう結果になる」東頭俊典HC
ベップHC率いる福岡のプレッシャーディフェンスに対して、東京Zは2日間通してアジャストを仕切れなかった。
「福岡のディフェンスはプレッシャーが強いので、そこでボールを失ってしまった。後半からはターンオーバーを減らすことに成功できていたが、入れるべきシュートを入れていなかったので、立て直せなかった」とは東京Z東頭俊典HC。
試合展開を振り返ってみると、1Q残り3分29秒までは16-14とリードをしている。
この時間帯までは、スタートで出場していた5人(#14久岡幸太郎、岡田、#8紺野ニズベット翔、#32ナンナ・エグー、ジョーンズ)がコートに入っていた。
福岡にタイムアウトをコールされた後、東京Zは#17綿貫瞬と#2栗原翼、少し遅れて#13坂井レオをコートに送り出したのだが、福岡のタイムアウトからわずか1分で逆転を許すことになる。
「福岡がピック&ロールのディフェンスを変えてきていた」と東頭HCが話すとおり、確かに福岡がタイムアウトをきっかけにアジャストをしてきていたが、東京Zはベンチメンバーを入れたところから試合の主導権を相手に渡してしまっていた。
これまでもよく見られた光景がまた繰り返されたのである。
「相手のディフェンス強度に対して準備不足とは思わない。チーム内で理解力や遂行力に差がありすぎる。そこは自分も含めてアプローチを考えないといけない。若手がしっかり力を出せないと、チームとしても乗ることもできない。岡田やアレックス(・ジョーンズ)に頼り過ぎれば、点差としてこういう結果になる。みんなで打開していかないといけない」と東頭HCはチームの現状に対してこうコメントする。
「栗原と#4ケイン・ロバーツをどれだけ絡めさせるのかがすごく大事ですけど、プレッシャーに煽られていて。栗原は点差が付いた場面から冷静にプレーできていたので、そこは大きな収穫と思います。どうしても岡田に預けてみんなが見てしまう。そこで決めているから21点取れているのですが、ターンオーバーもある。そこをどうやってチームとして生かしていくのか。岡田は使われるタイプで、チームとして彼を使えきれていない」
誰かに頼るというチーム状況は決して好ましくないのは確かだ。
スタッツでもある通り、この日の総得点70点のうち、ベンチメンバーが獲得したのは16点。福岡を見ると、総得点91点のうちベンチメンバーで稼いたのが42点と全体の約5割。
東京Zはベンチに控えている、特に若手の得点力が足りていないのはこの数字から見てもわかるだろう。
「攻める姿勢を全員が持っていればこんな試合にはならなかった」久岡幸太郎
キャプテンの久岡はチームの敗戦を冷静に受け止めていた。
以前取材したときのような、何かに悩んでいるような感じではなく、むしろ「今日に関しては福岡が一枚上手だった」と完敗を認める。
「福岡はタフで良いチームだなと思いました。粗削りですけど、チームとしてやることが徹底されている。ファウルでも良いから、徹底して全員で走っていました」
福岡のタフさに対して、東京Zはアジャストができなかったのだが、ターンオーバーに関して言えば、久岡や栗原といったガード陣は大きく数字を減らしていた。
「ポイントガードとしては試合展開を変えることができなかったので、アジャストできていなかったのかな」と久岡は冷静に試合を振り返る。
この日もチーム全体のターンオーバーは23個。「まあ多すぎますね」と久岡も受け入れるしかなかった。
「チームとして引かずに攻め続けるというのは、相手がタフな分、自分たちもタフにやり返さないといけない。アジャストすることや戦術もありますけど、ボールを失わず強くプレーするというのは向こうのほうが上手で、タフさも上手だった。それだけです。攻める姿勢を全員が持っていればこんな試合にはならなかった」
久岡は敗因を理解していた。だからこそ「違う結果にできる」と自信も見せる。
「一人一人が自覚をもって、全員が自分たちのやるべきバスケットを徹底して準備した上で、コートに全員が自信をもって立てれば、結果はついてくると思います」と久岡にはチームの目指すべき道が見えているようだ。
取材の最後には「こうして世界中が苦しい状況である中、ファンの方には僕たちのゲームを見るという選択をして頂いていることについて、本当に感謝をしています。その中で結果が出せていないのは悔しいですが、それでもシーズンが終わるまでは戦い続けますし、僕たちができると信じてもらえているからついてきてもらっていると思いますけど、信じてもらってこれからも一緒に戦っていただきたい」とファンに対してメッセージを残す。
「この状況下でバスケットボールをできていることが幸せですから」
コロナ渦の中、大田区総合体育館にはこの日も1000人以上のファンが詰めかけていた。
プレイヤーとしてはバスケットボールができる幸せを味わいながらも、結果を残していかないといけない。
ベンチやコート上に響く声も明らかに福岡ベンチの法が上回っていた。
何か事情があるにしても、声の響き方に差があることは考えないといけない。ファンからすれば声が出せないため、もどかしいところもあるだろう。
ベンチに控える若手の奮起、練習や試合で積み上げてきたものから得た自信を胸にもってコートに入ってほしい。希望をもたらして欲しい。
ファンがチームに求めるとすれば、ただそれだけだと。