文 マンティー・チダ
トップリーグに所属するNTTドコモレッドハリケーンズ(以下 NTTドコモ)は、町田GIONスタジアムでキャノンイーグルス(以下 キャノン)と対戦し、26-24と勝利して開幕戦白星スタートを果たした。
TJ・ペレナラが1ゴール1アシストと活躍
試合開始からキャノンの猛攻に対して、NTTドコモはオフサイド、コラブシングと反則を繰り返し、PR北島大がイエローカードを宣告され10分間ピッチから退く。1人少ない14人となったNTTドコモだが、ディフェンスで踏ん張り厳しい局面から打開した。
試合が動いたのは前半17分、NTTドコモはキャノンのノットロールアウェイから手にしたペナルティーキックをSO川向瑛が決めて先制に成功する。
しかし、キャノンに自陣10mラインから左サイドへパスを展開されると、WTBホセア・サウマキにトライ、コンバージョンゴールも許して逆転される。
前半32分、NTTドコモは川向がこの日2本目のペナルティーゴールを入れて1点差に詰め寄るが、2分後の36分にキャノンCTBジュシー・クリエルには倒れこみながらトライ、SO田村優にもこの日2本目のコンバージョンゴールを決められ、6-14で前半を折り返す。
後半、しばらく拮抗した展開となったが、16分にキャノンLOジャン・デクラークがハイタックルでイエローカードを宣告され、ピッチから一時下がったところから試合が動き始める。
18分、NTTドコモは、今季から新加入したラグビーワールドカップNZ代表SHのTJ・ペレナラがチャンスをものにしてトライを決めると、川向のコンバージョンゴールで14-14の同点に持ち込む。
直後の22分、キャノン田村にペナルティーゴールを決められるが、26分にはペレナラが一瞬の隙を狙って飛び出しFL李智栄のトライを演出すると、32分にはWTB茂野洸気がフェイントをかけてトライ、NTTドコモは23-17と再びリードした。
後半36分、途中出場のキャノンLO安井龍太に敵陣から走りこまれて1点差に詰め寄られるトライ、SO小倉順平のコンバージョンゴールでキャノンに逆転を許すが、NTTドコモはキャノンのホールディングで獲得したペナルティーキックを川向がポール右側すれすれに蹴りこみ再逆転。
これが決勝点となり、NTTドコモがキャノンを26-24で下して開幕戦を勝利で飾った。
コントロールしてくれるところやチャンスで結果に繋げてくれた
ラグビーワールドカップ南アフリカ代表のクリエル、元サントリー監督の沢木敬介監督を新たに迎えて、戦力的にもキャノンが優勢と思われたが、蓋を開けてみればNTTドコモの粘り勝ちだった。
序盤、反則により一人少ない布陣で戦わざるを得なかったNTTドコモが厳しい局面を踏ん張る。
今季からNTTドコモを指揮するヨハン・アッカーマンHCは「前半厳しい局面だったが、後半から変えることができた」と話せば、ペレナラも「後半からやるべきことが明確になって良かった」と続ける。
一方、キャノンにしてみれば「やろうとしていたラグビーには程遠い。自滅だ。前半だけで4トライできるはずだった」と沢木監督が悔やむほど、相手を攻め込みながら詰めの甘さが露呈した格好だ。
1トライ1アシストと活躍を見せたペレナラ。
「コントロールしてくれるところ、チャンスも結果に繋げてくれた」とアッカーマンHCはペレナラの活躍を称える。
NTTドコモは昨シーズンの開幕戦こそ三菱重工相模原に勝利したが、コロナ禍によるシーズン中断まで5連敗と負けが続いていた。
それだけに「勝利はしたが、毎回リセットしなければならない。
これをひたすら繰り返すことで勝ちに繋げたい」とアッカーマン監督は勝利におごらず、チームの気を引き締める。
もう一人の大物外国人、ラグビー南アフリカ代表のWTBマカゾレ・マヒンビは戦術の都合と外国人選手枠の関係で開幕戦を欠場したが、次戦以降は出場の可能性がある。
世界を代表する選手に引っ張られる形で勢いに乗ることができれば、NTTドコモは最後のシーズンとなるトップリーグで面白い存在になるかもしれない。