文 マンティー・チダ
ラグビートップリーグは3日に秩父宮ラグビー場で第6節の1試合が行われ、サントリーサンゴリアスがクボタスピアーズを33-26で下して全勝を守った。
ホワイトカンファレンスの全勝対決となったこのカード。チームを勝利に導いたのは、ニュージーランド代表でラグビーワールドカップ日本大会では主力でもあったボーデン・バレットだった。
ボーデン・バレットの決勝トライでサントリーがリーグ戦全勝をキープ
試合開始早々、サントリーはタッチキックで敵陣へ入りさらなる前進を図る。
前半4分、クボタのオフサイドからペナルティーキックを選択したサントリーは、バレットが低い弾道のキックでゴールを決めて先制する。
その後、クボタFLトゥパフィナウのトライなどで逆転を許したが、前半19分にはバレットが再びペナルティーゴール、25分にはバレットのハイパントを受け取ったFB尾崎晟也がトライをして勝ち越しに成功した。
前半31分、SOバーナード・フォーリーにシンビンが適用され、クボタが一人少ない状況になると、サントリーはクボタの前から当たるディフェンスに苦心しながら、ショーン・マクレーンのトライなどで得点を量産。23-7とクボタをリードして前半を折り返す。
後半に入り、サントリーは12分にバレットがこの日3本目のペナルティーゴールを成功させるが、ここからクボタの猛攻に合う。14分には自陣22m付近からモールで押し込まれ、最後はトゥパフィナウがトライ。続いて16分には、敵陣から一気に駆け上がられ、サントリーがディフェンスで一度は止めるが、WTB山崎洋之にトライを左隅に決められる。29分にはモールから再びトゥパフィナウに押し込まれてトライ、26-26の同点に追いつかれた。
追い込まれたサントリーだったが、後半38分。途中からFBにポジションを変えていたバレットが右サイドから巧みに回り込んでトライ、コンバージョンも自ら決めて33-26とし、これが決勝点。サントリーがクボタとの壮絶な全勝対決を制した。
「タフな試合になるのはわかっていた」ボーデン・バレット
今節のビッグカードは、サントリー優勢で進むかと思われたところから、クボタがブレークダウンを繰り返してサントリーからトライを奪って同点まで持ち込む。この時点で、試合の流れは明らかにクボタだった。
クボタに同点とされた後、サントリーは右サイドから攻撃を仕掛けていくが、クボタの前に出てくるディフェンスに阻まれる。このままクボタのディフェンスに屈したままで試合を終えると思われたが、サントリーは最後まで諦めていなかった。
「最後までボールを動かしながら得点をすることができて良かった」
サントリーのミルトン・ヘイグ監督は、試合後にこう振り返る。そして、同点で終わるという雰囲気を一変させたのが、決勝トライを決めたバレットだった。
「タフな試合になるのはわかっていた。クボタがセットピースを得意としていてスローダウンに持ち込もうとしていたので、こちらとしてはスピードやテンポを上げていかないといけなかった」
その言葉通り、決勝トライのシーンはテンポよく相手をかき分けて決めたトライだった。バレットは、チームではSOとFBの両方でプレーをしている。試合が始まったときはSOだったが、途中から田村煕が入ったときにはFBに回っていた。
「パスをしてくれた煕が良い仕事をしてくれた。トライに関しては直感が重要」とバレットはトライのシーンをこう振り返る。
「スーパーラグビーとは違うスタンダードを感じています」
代表をはじめ、様々な世界の舞台を踏んでいるバレットは、それぞれの環境に適した姿勢でラグビーと向き合っていた。次戦のNTTコム戦を終えると、負けたらそこで終わりのプレーオフトーナメントへ突入する。リーグ戦とは違った一発勝負の舞台で、バレットはどんなプレーを見せてくれるのだろうか。