文 マンティー・チダ
第58回全国大学ラグビーフットボール選手権大会が26日、秩父宮ラグビー場などで準々決勝の4試合が行われ、明治大学が早稲田大学を20-15で下し、準決勝に進出。2022年1月2日に国立競技場で行われる準決勝は、帝京大学-京都産業大学、東海大学-明治大学という顔合わせになった。
大賀宗志の2トライで早大に逆転勝利
先制したのは明大だった。前半6分、WTB石田吉平がハーフウェイライン付近で早大のキックをキャッチすると、右サイドから敵陣へランを敢行。敵陣22m付近でボールを回すと、ラインブレイクから展開し、最後はFL木戸大士郎が左隅にトライを決めた。
その後、早大SO伊藤大祐のトライなどで逆転を許した明大は、CTB廣瀬雄也のペナルティーゴールで一旦は勝ち越すも、早大PR小林賢太にトライを奪われるなど、前半を8-15と明大が7点ビハインドで折り返す。
後半、立ち上がりから攻めたのは明大だった。10分、早大のノットロールアウェイからタッチキックで敵陣へ入り、ラインアウトモールからインゴールまで詰め寄るものの、ボールを地面へつけることが出来ずに得点機を逃す。
しかし、明大は、早大のキックからもう一度攻撃を組み立て直すと、PR大賀宗志らのラインブレイクで再びインゴールへ入り込み、最後は大賀が倒れ込むようにボールをしっかりインゴールラインに付けて、反撃の狼煙を上げた。
2点差に詰め取られた早大も、伊藤のラインブレイクから一気にインゴールを狙ったが、パスが繋がらずノックオンでチャンスを逸する。これで再び流れを取り戻した明大は後半30分、スクラムで時間を使いながら少しずつ優勢に立つと、早大のペナルティからスクラムを選択し、大賀が再び押し込んで逆転のトライ。
SO伊藤耕太郎のコンバージョンキックも決まって、20-15と早大とのリードを5点に。結局、明大はこのリードを守りきって、早大を下して準決勝進出を決めた。
相手の22mラインを超えればFWの力で勝負して、必ずスコアをして帰ろう
明大は練習試合を含めて4戦目で、ようやく早大に勝利。対抗戦で3強を形成した、帝京大や早大に対しては、敵陣で戦っていた時間が長かったにもかかわらず、スコアをあげることができずに敗戦。
しかし、この試合は出だしのラインブレイクから明大が先制点を叩き出し、途中早大に勝ち越しを許しても、逆転勝利まで漕ぎつけることができた。
後半に入って、2トライを獲得した大賀は「1年間早稲田に勝てなくて終わるなんて、4年生にそんなことは絶対にさせられない」と強い気持ちで明大戦に挑んでいた。
「相手の22mラインを超えればFWの力でどんどん勝負して、ちょっとずつ前に出て必ずスコアをして帰ろうと、FWの選手で話をしていました。スクラムで時間はかかりましたけど、最後にしっかりスコアへ結びつけられたのが一番良かったです」と大賀は続ける。
対抗戦の帝京大戦、早大戦では勝負所でスコアに繋げることができていなかったが、大賀は「嫌な予感はしなかった」とマイナスのイメージは持っていなかったようである。
「スクラムやゴール前の攻防も全く負けている感覚はなかった」と大賀は話し、チームとしてトライを取り切れる自信を持っていた。伝統のスクラムにプライドを持って練習から積み上げたことで、早大にリベンジを果たしたのである。
準決勝の対戦相手は東海大に決定した。「我々は今日の試合を良く見直して、そこから出た反省点を次に生かしていくことの繰り返しです」と神鳥裕之監督は、昨年準決勝で敗退した教訓を生かし、相手よりも自分たちにフォーカスを置いた。
明大は今年のスローガンとして「Meiji Pride」を掲げ、ここまで勝ち残ってきた。SH飯沼蓮主将は「この試合は“Trust”というテーマで臨みました。全てを信じて戦おう、最後に勝つのは自分たちだ、ゲームの主人公は自分たちだということを全員が信じ続けられた」と勝因を語っている。
つまり、相手ではなくチームとして練習で積み上げてきた事に対して、信じ続けることができるのか。早大に今季初勝利としたことで、やっと明大らしさが発揮されたのではないだろうか。3年ぶりの全国制覇へ、あとは自分たちを信じるのみである。