文 マンティー・チダ
帝京大学奥井章仁がラインブレイクからゴロパンで得点を演出
「関東大学春季大会」は5月17日、帝京大学百草グラウンドで1試合が行われ、帝京大学(昨年対抗戦4位、全国選手権ベスト4)が大東文化大学(同リーグ戦6位)を57-7で下して、今季公式戦初戦を勝利した。
曇天で無風のコンディションから始まった帝京大学と大東文化大学の一戦。試合開始からスクラムやラインアウトなどのセットプレーで優位に試合を進めていたホームの帝京大学は前半14分、大東文化大学のペナルティーからタッチキックで敵陣深く攻め込んだところからラインアウトでボールを入れると、FL青木恵斗がゴールラインに走り込んで先制に成功する。
雨がぱらつき始めた前半22分、再び敵陣深くにボールを進めた帝京大学がラインアウトからモールでPR照内寿明が押し込むと、25分にはNO.8奥井章仁がラインブレイクで一気に押し上げると、フェイントを見せながらゴロパンで右サイドに上がってきたWTB白國亮大へパスを供給。白國はそのパスを滑り込みながらキャッチし、FB小村健太がバックアップしてトライを決めるなど前半だけで4トライとし、26-0で大東文化大学をリードして折り返す。
後半に入っても、優勢に進める帝京大学はブレークダウンからフォワードのコンタクトで敵陣22mラインに入ると、最後は小村健が快足を飛ばして一気にインゴールへ突っ込むなど、40-0とさらに突き放す。14分に大東文化大学WTB松田武蔵へ左サイドから突破を許し、SH東海林拓実のパスを受けたWTB鎌田進太郎に走り込まれるが、失点のシーンはこの時だけ。23分からは途中出場の1年生SO/FB小村真也が2トライを含む12点を挙げる活躍で大東文化大学を突き放した。
個人のスキルはまだまだ上げていかないといけない
帝京大学がホームグラウンドで迎えた公式戦初戦を快勝して、好スタートを切った。自陣でしっかりディフェンスから相手のノックオンを誘いスクラムに持ち込むと、今度は相手のペナルティーからタッチキックで大きく敵陣へ。ラインアウトからモールで押し込んで得点するなど、きっかけは激しいチームディフェンスだった。
主将の細木康太郎やラインブレイクからゴロパンで先制点をお膳立てした奥井は「しっかり組織でディフェンスをできたのが勝因」と口を揃える。ただ細木は「あそこで差し込まれて、受けてしまった」と後半14分で起こった唯一の失点シーンを反省点に挙げた。大東文化大学にはパワーやスピードを備えた留学生が控えている。今後、対戦相手によっては自分たちよりも個人スキルが上のチームと対戦することも考えられるだろう。「個人のスキルはまだまだ上げていかないといけない」とチームの課題を示した。
スクラムやラインアウトといったセットプレーに磨きをかきながら、そのきっかけとなるディフェンスで個々のスキルを発揮しつつ強度の高いチームディフェンスをやり続けられるのかだろう。全国大学選手権優勝経験者が卒業して新たな時代を作り上げるためにも、帝京大学はディフェンスを持ち味としなければならない。強度の高いディフェンスを作り上げることが最重要課題なのだろう。
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