文 マンティー・チダ
NTTリーグワン、ディビジョン2の三菱重工相模原ダイナボアーズは1月22日、相模原ギオンスタジアムでスカイアクティブズ広島と対戦し、52-25として開幕2連勝。相模原ギオンスタジアム開幕戦を白星で飾った。
本拠地開幕戦、8トライで完勝
終わってみれば、ダイナボアーズの完勝だった。前半4分、ハーフエリア付近でマイボールのファーストスクラムを獲得したダイナボアーズは、WTBベン・ポルドリッジとCTBマイケル・リトルのビッグゲインから敵陣深く入り込み、サイドを抜け出したFL鶴谷昌隆が左隅に先制トライ。
スカイアクティブズにペナルティゴールで3点を返されるが、自陣でスカイアクティブズのノットリリースザボールから敵陣22m付近でマイボールラインアウトにすると、5mスクラムからLOジャクソン・ヘモポ、前半27分にはCTBマット・ヴァエガがボールキャリーからトライ。さらにこの日先発に名を連ねたSOイーリニコラスも続き、26-6とスカイアクティブズに大きくリードを広げて、前半を折り返した。
後半に入り、スカイアクティブズに3トライを返されるものの、ダイナボアーズは終始主導権を握り続けて好スタートを切った。
勝って学べるというのはありがたい
ダイナボアーズは開幕2連勝としたものの、あくまでも目指すところは1シーズンでディビジョン1に昇格すること。「HO安江(祥光)ゲームキャプテンを中心にハードワークをしてくれて、すごく良い試合になりました」とグレッグ・クーパーHCは一定の評価を下したものの、「私は100%満足をしていません、ここで終わりではなく、ここから成長していきたい」と改善の余地があることを示した。
両チームのメンバー構成を見てみれば、海外出身者の選手を多く抱えるダイナボアーズの方が優勢。しかし、クーパーHCと安江は口を揃えて「マツダ(スカイアクティブズ広島)が80分間ハードワークしてきて、難しい試合となった」とグラウンド上では、彼らの想像を超えたスカイアクティブズのアグレッシブさに苦労をしていたようだ。
ダイナボアーズは先程も触れた通り、1シーズンでのディビジョン1昇格を目指しているため、結果はもちろんのこと、内容も求めていかないといけない。「勝って兜の緒を締めるわけではないですが、勝って学べるというのはありがたい」と安江が繰り返していたのも頷ける。
2週間前のライナーズ戦では、試合の入りが良かったものの、前半途中から停滞気味な状況に陥っていた。
安江はこの試合に向けて「クーパーさんとこのゲームについて話をしていたこととして、まず10分、その次の10分。10分を区切りに自分たちのプレーを遂行しようという約束で試合に入りました。前回のライナーズ戦も学んだことですが、もう少し我々がレベルアップをしていかないといけない」と改めてチームの課題を示した。
1年でディビジョン1昇格を目指すダイナボアーズとしては、常にレベルアップする気持ちを忘れないということだろう。
みんな満足できていないのが一番の学び
この日、コリン・スレイドに変わり、先発に名を連ねたSOイーリニコラス。パナソニック(現埼玉パナソニックワイルドナイツ)、神戸製鋼(現コベルコ神戸スティーラーズ)と名門チームでプレー経験があり、神戸製鋼在籍時には日本一も経験する。
それだけにトップリーグで戦う厳しさを、イーリニコラスは肌で感じていた。
「今日の試合は勝ちましたけど、選手たちが満足できていないというのを感じたので、チームとしてはよい成長だった」と試合を総括。
「自分たちにフォーカスをする。自分たちのラグビーをすることを意識していました。うまくいかなかった部分もありますが、そこでどうやって自分たちに向けるのか、チーム内でいろんな会話がありました。今日はみんなが満足できていない、みんなから上を目指しているというのが分かったので、みんな満足できていないのが一番の学びでした」と続けた。
現状に満足しないマインドが続く限り、ダイナボアーズは成長し続けていけるのだろう。決して簡単なことではないが。