ラグビートップリーグは11日に駒沢オリンピック公園陸上競技場でレッドカンファレンスの1試合が行われ、すでにレッドカンファレンス1位通過を決めているサントリーがNTTコムを94-31で下し、全勝でリーグ戦を終えた。
サントリーは大幅にメンバーを入れ替えてリーグ戦最終戦に臨んだが、選手層の厚さを見せつけた格好となった。
サントリーが90点越えで完勝、バレットが出場20分でハットトリック
前半3分、サントリーは自陣10m手前でNTTコムのラインアウトからターンオーバーに成功すると、左サイドを駆け上がり敵陣10mラインまで入ると、WTB江見翔太が右サイドに先制トライに成功する。
直後の5分、NTTコムのWTB張容興にインターセプトからトライを許すなど同点とされるが、サントリーは12分に敵陣ゴール前でラインアウトからモールで押し込むと、HO中村駿太がモールを回り込むようにトライし、この日先発したSO田村煕が2本目のコンバージョンキックを成功させて14-7とリードする。
その後、サントリーは江見が自らショートパントを蹴り上げてそれをキャッチし、この試合2本目のトライをあげるなど、前半終了まで5トライを稼いで、45-24とNTTコムを大きくリードして前半を折り返した。
後半に入り、開始早々NTTコムWTB石井魁にトライをされるが、サントリーは9分にモールから中村がこの試合2本目のトライで引き離しにかかると、14分にはNTTコムのペナルティーから江見が敵陣へランを敢行。最後はPR垣永真之介が中央にトライを決めるなど、59-31でさらにリードを広げた。
22分にはSOボーデン・バレットとルーキーのFL下川甲嗣がピッチに入ると、まずは下川が結果を出す。敵陣ゴール前でNTTコムがコラブシングでペナルティーをコールされた後、下川はリスタートからポール下に飛び込んでトライ。トップリーグ公式戦でファーストタッチからファーストトライを達成すると、バレットもこの日は自慢のキックではなく、ランで見せ場を作った。
26分、SH齋藤直人のパスを受け取ったバレットはランを選択してトライを決めると、36分には2人をしなやかに交わしながらトライ、42分にもトライを決めて、出場20分余りで3トライとハットトリックを達成。終わってみれば94-31でサントリーがNTTコムに大勝し、リーグ戦レッドカンファレンスを全勝で終えた。
サントリーのルーキー下川甲嗣がファーストタッチで初トライを達成
サントリーは先発の選手を大幅に変更したが、開始からチャンスをものにして確実にトライへ持ち込むなど、終始ペースを握り続けた。バレットやSH流大はベンチスタート、キャプテンのCTB中村亮土がベンチから外れても、選手層の厚さを見せつける格好となった。
サントリーのミルトン ヘイグ監督は「レッドカンファレンス1位通過は決まっていたが、勝利で終えることができた。90点取れましたし」と結果に満足する。ゲームキャプテンを務めたLOトム・サベッジも「サントリーで初めてゲームキャプテンをしましたが、良い練習や準備ができたからこういった結果に繋がった」と準備に抜かりが無かった模様だ。
もちろん終盤の出場だけでハットトリックを達成したバレットの活躍は言うまでもないが、これまでゲームタイムが少なかった選手に結果が出たのは、サントリーにとって何よりも大きなことだった。「各ポジションの層を厚くしたい」とヘイグ監督の願いは通じた模様である。
その中で、ルーキーながら早速得点に絡んだ下川の活躍は目を見張るものがあった。
「けが人が多い中でFWができる選手ということから、コーチのフィードバックも良かったので。ファーストタッチからファーストトライは素晴らしいプレーだった」とヘイグ監督は記者会見冒頭で自ら下川の活躍に触れた。
記者会見に登場した下川は「絶対に勝って全勝で終えるという目標の中で選んでいただいた。チャンスだと思っていたので、ものにできて良かった」と開口一番でこう切り出した。
そして得点のシーンでは「スクラム時に自分の下にボールがあって、前が空いていたので行けそうな感じがありました。齋藤(直人)先輩から「いけ!」と声がかかったので、行きました」と裏側も交えながら振り返る。
常に試合出場へ準備をしていたが、下川にとっては「今か!」というタイミングで予想よりも早いトップリーグデビューだった。
これからは一発勝負のプレーオフトーナメントが始まる。サントリーは二回戦から登場し、豊田自動織機とNECの勝者と秩父宮ラグビー場で対戦。トップリーグラストシーズン制覇に向けて、サントリーは一戦必勝でトップリーグ5回目の優勝へ、最後の王者へ。絶対に負けられない戦いが始まる。