文・写真 マンティー・チダ
Bリーグ、横浜ビー・コルセアーズ(横浜BC)が9月10日に平塚トレーニングキャンプを終了。あと3週間に迫ったリーグ戦開幕へ準備を着々と進めていた横浜BC。チームのHCに復帰して2季目に入った青木勇人HCに今季の意気込みを伺った。
選手には3pを『迷わず打て』と言いたい
今季から、#6赤穂雷太、#10チャールズ・ジャクソン、#15デビン・オリバーが海賊の一員に加わったことで「ほぼ全員が動けて走れる」編成となったと話すのは、昨季に続き横浜BCの指揮官となる青木勇人HC。
「ある程度、大きな具材を作ることができたので、後は細かい部分を突き詰めていく作業になります」
青木HCは、平塚トレーニング最終日時点におけるチームの仕上がり状況をこう説明した。
「昨季から取り組んできた『全員がプレーに参加する』を意識しながら、強烈にフィニッシュまで持っていけるようにしたい。その瞬間で強みをしっかり選手が判断しながらプレーするという判断の早さ、遂行力というのをさらに上げていけば、面白いバスケットになるのではないでしょうか」
#1パトリック・アウダがチェコ代表としてユーロバスケット出場中のため、チームにはリーグ戦開幕直前に合流する見通しだが、日本代表の一員としてW杯アジア予選やアジアカップを戦ってきた#5河村勇輝が5日に代表活動から戻ったことで、ようやく選手10人が揃って練習ができるようになったのである。
ただ、チームのベースは着々と出来上がってきていた。ディフェンスは、今季からコーチングスタッフに加わったイゴア・ジャレティッチACが中心となり、「昨シーズンよりはもう少しアグレッシブなディフェンス(青木HC)」を構築。オフェンスは「もう少し広いスペースで、外からペイントアタックを繰り返しながらオープンを探していく。昨季よりは軽快で良いペースになるはず」と青木HCは今季のチームにおける見通しを示した。
昨季は、3pシュートが入ればテンポの良いゲームが出来ていた。昨季の3p成功率は、Bリーグ始まって以来、チーム歴代最高の34.4%(リーグ11位、1位は秋田の37.8%)。
ただ、この数字を持ち出しても、青木HCは「もっと確率をあげることはできた」と振り返る。3pシュートが入るとき、試合の流れは良かったが、ワイドオープンを作っても3pが入らなくなると展開が悪くなり、試合の結果にも影響することがあった。
「どっしりとしたバスケットになっているときが一番つらかった」と明かした青木HCはシーズンを迎えるにあたってこう続けた。
「今季はみんなが気持ちよくシュートを打ち切って、クオリティーのあるショットであれば入る入らない関係なく打っていく。そこにもっとフォーカスができれば、シュートの成功率をさらにあげることができる。選手には『迷わず打て』と言いたい」
昨季の教訓を生かし、選手に積極性を求めた青木HC。
「感覚的にはもっと打ってほしい。ワイドオープンになっても打たない選手がいたけど、もう打ってほしい。その結果、アテンプトは増えていくのではないかと期待しています」
もちろん、3pシュートをただ打てば良いというものではない。
「外を回しただけだとどうしても限界が来てしまうし、対応もされてしまう。一度、ペイントアタックをしてから、(相手のディフェンスが)収縮した状態からのキックアウト、クローズアウトからアタックするプレーやシュートを狙えるプレー。昨季もそこを意識していて、それができた時はものすごくオープンから気持ちよく(シュートを)打てていたと思うので、今季はさらに強調してやっていきたい」
ペイントアタックからのキックアウトを意識したオフェンスこそが、横浜BCの生命線となるのである。
パトリック・アウダが帰ってきて、チームの準備は完了
「あとはパトリックの帰りを待つ。それで補完されるのではないかな」
青木HCはアウダの合流を心待ちにしているが、アウダには絶大な信頼を寄せていた。
「パトリックは昨シーズンからいましたし、それはアドバンテージ。デビン・オリバーとチャールズ・ジャクソンはだいぶチームに溶け込んできているので、昨季を知るパトリックが入ることにより、オープンコートでもハーフコートでも強みが分かりやすくなると思います。これである程度準備ができる」
アウダがリーグ戦直前に合流するということは、その時点でチームとしてもう一度微調整をしないといけないことになる。
「昨季から変わったところを、パトリックが理解できるのかが大事になります。そこはアプローチしていますし、パトリックはものすごくスマートな選手ですから。昨季から在籍している選手が多いのは、うちの編成として強みです。パトリック・アウダが帰ってきて、チームの準備は完了と言ったところでしょう」
今季から下位2チームはB2へ自動降格となる。横浜BCとしては、新B1に繋げる意味でも、今季は何が何でもCS進出を果たさないといけない。青木体制は2季目を迎えるが、今季は改めて結果が問われる。そのためにも、ビーコルらしいバスケをコート上で表現できるのか。全てはそこにかかっている。