【バスケBリーグ】横浜BCがリーグ戦中盤へ挑む(後編)~レイトン・ハモンズの起用法から見えてきた青木勇人HCの想い~

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バスケットボール
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文 マンティー・チダ

Bリーグ、B1は約2週間のバイウィークを経て、12月4日の第9節から再開する。東地区の横浜ビー・コルセアーズ(以下横浜BC)は、ここまで14試合を消化して6勝8敗とした。2回にわたって、今季における横浜BCの戦いぶりを様々な角度から考察。後編では、レイトン・ハモンズの起用法から見えてきた青木勇人HCの想いをお届けする。

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ストレッチ4で起こる”ズレ”が自分としては得意だと聞いていた

レイトン・ハモンズ(中央) ©マンティー・チダ

今季の横浜BCは、ターンオーバーにおいて、次第に改善が見えてきたものの、リバウンドでは苦戦している。個人別でも、1試合平均9.4本を記録する#7レジナルド・ベクトン以外は数字が残せていない。ならば、スピード面でイニシアチブを獲得する必要がある。

昨シーズンは、ベクトンと並んでロバート・カーター(現三遠)がリバウンドに絡めていた。今シーズンは、三遠へ移籍したカーターに代わって、#2レイトン・ハモンズが加入したものの、ハモンズはどちらかと言えばスコアラーの印象が強い。

青木HCは開幕前に「ハモンズは3番であれば高さのミスマッチ、4番であればスピードのミスマッチに期待したい」と発言していた。ハモンズを3番で起用するとなれば、4番と5番にビッグマンを起用しなければならない。外国籍選手の出場ルールから考えても、帰化選手の#32エドワード・モリス、#1パトリック・アウダとの同時起用が現実的だとしていた。

開幕前のプレシーズンゲームでは、3人を同時起用した「ビッグラインナップ」を試している。リバウンドが取れないチーム事情から考えても、ハモンズを3番起用としたビッグラインナップにすれば、さらにビッグマンを2人起用できるため、リバウンド面の改善に繋がると思われていたが、シーズンが始めるとベールに包まれたままの状況となっていた。

いつになったら、ビッグラインナップとするのか。そんなやきもきした気持ちを持ちながら、前節の宇都宮戦でその時が訪れた。宇都宮が、#10竹内公輔を含めたビッグラインナップとすると、横浜BCはそれに合わせるような形で、コート上にはハモンズ、モリス、アウダと3人のビッグマンが揃い踏みした。

「レイトン・ハモンズにはインタビューを繰り返して、4番が自分のナチュラルポジションだと。キャリアの中でもストレッチ4として戦ってきたとのことで、ストレッチ4で起こる”ずれ”が自分としては得意だと聞いていた」

青木HCは、シーズン前からビッグラインナップ構想があったものの、本人へのインタビューを継続してきたことから「開幕から13試合、バイウィークまでに4番として、横浜の戦い方を固めるのが先決」とハモンズを4番に固定して、チーム作りを進めていた。宇都宮がビッグラインナップにしてきたことで「マッチアップがちょうど合うこと。3番でサイズのミスマッチを消すため」という目的でハモンズの3番起用に踏み切る。これを強みにしたいというよりは、相手の良さを消すためのビッグラインナップだったようだ。

ウイングの日本人選手がどう戦うのか。そこがワクワクできるところ

大庭 岳輝 ©マンティー・チダ

「日本人選手が活躍できる場所を見たい」

青木HCは、ここまでビッグラインアップを起用しなかった、もう一つの理由を明かした。「日本人選手が相手のビッグラインナップに対して、どう戦っていくのかというのは、育成型の横浜においてすごく大事なことです」と付け加える。

横浜BCに限らず、日本人選手と外国籍選手を比較した際に、サイズやフィジカル面で日本人選手が不利になる傾向であることは間違いない。ただ、日本人選手が世界の檜舞台で戦うためには、体格の不利を克服しなければならないし、それができてこそステップアップになるわけだ。

「ビッグラインナップで合わせるという戦い方ではなく、そこに対してうちのウイングの日本人選手がどう戦うのか。一番見ていてワクワクできるところだと思います。そこで活躍することによって、日本人選手のレベルアップに繋がると思っています」

育成型クラブを自負する横浜BCとしても、日本人選手にチャレンジできる環境を提供することで、ステップアップが見込めるとした。

青木HCは開幕前から「良いシュートを見つけていきたい」といった発言を繰り返していた。もちろん、B1で勝利を重ねない事には、チームの発展も見込めない。しかし、日本人選手が挑戦することで獲得できる大きなステップアップこそ、個人だけにとどまらず、チーム・クラブ全体の成長にも影響する。

4年ぶりに指揮官として横浜BCに戻ってきた青木HC。前任地の新潟で経験した様々な想いがあってこそ、今がある。リーグ戦はこれから中盤に向うが、選手の起用法に変化が見られるのか、青木HCの手腕が楽しみである。

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