文 マンティー・チダ
日本バスケットボール協会は7月3日、東京五輪3人制バスケットボール男子日本代表内定選手4名を発表した。男子は開催国枠として東京五輪へ出場する。
「メダルを取ることが目標」ロイブル・トーステンコーチ
男子の日本代表内定選手は以下の通り。
#23 保岡 龍斗 (G / 188cm / 秋田ノーザンハピネッツ / SEKAIE)
#30 富永 啓生 (G / 188cm / ネブラスカ大学)
#33 ブラウン アイラ (F / 193cm / 大阪エヴェッサ)
#91 落合 知也 (F / 195cm / 越谷アルファーズ / TOKYO DIME.EXE)
この4選手の組み合わせは、これまでになかったものだった。それでもロイブル・トーステンディレクターコーチは「メダルを取ることが目標」と自信を持って本番に臨む決意を示す。
「みんな日本はそれほど強くないと考えられているでしょう。メダルを目指すことをみんなで考えていました。どうしても勝たないといけないというプレッシャーはこのチームにはないと感じています。選手からはミーティングで大きな意思を持ってメダルを獲得したいと言っていました」とロイブルコーチは選手と目標を共有していることを明かした。
改めて選ばられた選手を確認すると、やはり3×3における落合知也の経験値に期待したい。「3×3ではリーダーシップが重要。試合ではコート上にコーチがいないため、彼の経験が必要です。練習においても、コート上では実際にいろんな例を示してくれているので、私はすごく助かっています」とロイブルコーチも落合に全幅の信頼を寄せる。
「出るからには金メダルが目標」落合知也
落合は、5人制のチームに所属しながら、3人制でも日本代表の中核として世界と戦ってきた。「(内定の発表を受けて)嬉しく思いますし、ほっとしています」と落合は素直に心境を明かす。まだ3×3を3on3と呼ばれていた頃から、3人制の第一線で活躍してきた落合にとって、東京五輪への出場は長年の悲願だった。
子どもたちへの普及活動にも力を入れている落合は、改めて「出るだけでなく、結果にこだわりたい」とし、キャリアの集大成として「東京五輪で金メダル」を目指す意向を示した。「やっぱり結果を出さないと、3×3はメジャースポーツにはならないので、誰よりも意識して取り組みたい」と強い気持ちで本番へ向かう。
「ロイブルコーチにも言われていることで、自分も理解できていることは、この4人の中で一番経験があること。3×3はコーチが指示を出せないので、試合中は選手同士でコミュニケーションをとりながら解決していかないといけない。どんなに苦しい場面でも打開できるように、自分がリーダーになって日本チームを引っ張りたい」と自分の役割も認識している。
そして、何よりも実戦で組んだことのないメンバーが代表に選出された。しかし、これについても「強化合宿で手応えは感じている部分もある」と不安を一掃する。「今後、セルビアやラトビアと練習試合できるチャンスがある。そこでケミストリーを高めて、こういったチームの存在が他の選手にとって経験にもなるし、この4人で何ができるのかもそこでわかると思うので、言い訳一切なしで臨みたい」と落合はあくまでも強気の構えだ。
「ボールを止めないこと。3×3ではペースが大事なので、無理な1対1やタフショットにならないように」と落合はチームのメンバーに声をかけている。ディフェンスについても「粘り強さですね。ディフェンスを大事にしているので、世界に通用すると考えている」と言及した。
ブラウンは「強さとクイックネス」、富永は「2ポイントシュートとドライブ」、保岡は「ディフェンス」とそれぞれ自分の持ち味をあげた。落合が彼らの強みを長年の実戦経験から巧みにコントロールできれば、目標とする「金メダル獲得」はより現実へ近づくことになるだろう。
落合は「コロナ禍で難しい状況にある中、普段の生活で我慢している人が多いと思います。僕たちはプレーで伝える事しかできないので、プレーで何が伝えられるのかを大事にしたい。見ている人に何かきっかけを与えられるようなプレーや結果にしたい」と最後に改めて決意表明をした。
落合が胸に抱くメッセージはファンや多くの国民へ届くのか。今大会から初めて五輪種目に採用された3人制バスケで、落合を擁する3人制バスケ男子日本代表はは頂点を目指す。