文 マンティー・チダ
Bリーグ、B2に所属するアースフレンズ東京Z(以下:東京Z)は10月18日、仙台89ers(以下:仙台)と対戦し、64-82で敗れて開幕から6連敗となった。
今シーズンから、カナダNBLのリーグ優勝やスウェーデン代表HC経験がある、ウーゴ・ロペス新HCを迎え、新体制で臨んでいる東京Z。ここまで、勝利から遠い状況ではあるが、チームの方向性としては、割とシンプルに見えた。
チーム編成を見ていると、主将の#14久岡幸太郎やハンドラーの#2栗原翼に加え、フィリピン代表経験者の#1ホアンゴメス・デ・リアノ、#3マーク・バートンとポイントガードを4人揃えているが、今季2年目を迎える#24髙木慎哉のスコアメイクは、このチームにおいて、より必要な状況になるようだ。
空いたら打つという、そういうメンタルでやっています
18日のGAME2では、5本のスリーポイントを含む20得点とキャリアハイを達成した髙木。ロペスHCからは「空いたら打て」と持ち前のシュート力を遺憾なく発揮するように求められている。
「本当にシンプルというか、あんまりドリブルするなみたいな。ドライブからキックアウト、エキストラパスを出して、ドライブから打たせるという、ボールも人も回してなので、やりやすいのはあります」
髙木は、今シーズンのチームについて、このような印象を持っていた。そのGAME2は、試合開始からディフェンスは2-3ゾーンディフェンスでスタートする。
「初めてですね。あれだけずっとゾーンとかトライアングルツー(※)をやったりするのは。マンツーマンも難しいところありますけど、ゾーンディフェンスは判断が難しい。GAME2は、フリーで3pを(仙台に)打たせることが多かったので、そこの判断ひとつで点を取られてしまった」
※トライアングルツー:2人がマンツーマン、残りの3人がゾーンディフェンスをするシステム。
ディフェンスにおいて、髙木から戸惑いが見え隠れするようだ。
一方、オフェンスについては「なかなか攻め切れないとか、点が取れる絶対的な選手がいない。そこでズレを作って、アドバンテージがある状態をアップテンポな状況から作れると、ボールも人も動く」と髙木は話す。
実際、追いかける展開から始まった後半は、東京Zボールより始まったこともあり、オフェンスのテンポアップから仙台との点差を詰めていった。
「展開が遅くなると、どうしても重くなってしまうため、流れが悪くなってしまう。ボールも人も動くと、フリーになる人が出てくる。フリーでシュートを打つことができれば、シュートが外れたとしても、チームが作った1本であれば流れは良くなるし、ディフェンスも頑張れる」
フリーになるべき人、今シーズンの東京Zで考えれば、髙木が一番当てはまることになる。
「フリーを作ってもらったのを決めるしかないので、本当ならば100%決めたい。毎試合ですが、あれ決められたとか、決め切らないといけないとかすごく多くて、コンスタントにチームを勝たせるようにならないといけないのは課題です」
髙木は、自分の役割を理解しながらも、反省の日々を過ごしていた。「空いたら打つという、そういうメンタルでやっています」とシュートに対する意識はしっかり持っているようである。
接戦になれば、ずっとやり切らないと勝てない
ただ、いくら得点ができたとしても、試合では勝利しなければ、その価値が薄れてくる。
「キャリアハイでも嬉しい反面、勝てないと意味が無いので、悔しいというか、勝って結果を残したいという気持ちはあります」
勝負事である以上、チームの勝利に全力投球することが最優先であり、その先に個人の成績が付いてくる。髙木はキャリアハイの成績であったが、チームを勝利に導けなかった悔しさがそれを上回っていた。
「もうディフェンスだと思います。オフェンスは前日と違って、人もボールも動いて良かったと思いますが、ディフェンスで相手のビッグマンを抑えられないとか、相手で当たっている人をフリーで打たせること、やられてはいけないところをもう少しカバーできれば、違った結果になったのかな」
実際、東京Zは後半から速いテンポのオフェンスより得点を重ねて、一時は2点差まで詰めるものの、仙台にモーションオフェンスから#12寒竹隼人の3pなどで突き放された。
4Qに入っても悪い流れは続き、#5デビン・オリバーにスティールからファストブレイクを決められるなど、点差はさらに広がった。その後、東京Zは#25マーク エディ・ノエリアが奮起するものの、仙台に主導権を握られたまま、試合終了を迎える。
「勝負どころのディフェンスで止めること、大事な場面でシュートを決め切ること。自分勝手ではなく、チームのためとなれば、勝負所でやり切れる。接戦になれば、ずっとやり切らないと勝てない」
髙木はここまでの6敗を通して、勝つことの難しさを痛感していた。ホーム開幕戦となった17日の試合では、1500人を超えるファンが詰めかけている。
「本当にファンの方には申し訳ない。不甲斐ない試合をしてしまって。最初から最後まで3Q序盤のような集中力でやり続ければ、チームとして上がれるのではないか」
40分間、集中力を切らさずにプレーをするのは容易ではない。しかし、東京Zがこれからさらなるステップアップをするためには、必要なことでもある。
2026-27シーズンから新しいレギュレーションがスタートし、東京Zをはじめ、多くのチームが新B1入りを表明。新レギュレーションでは、入場者数、売り上げなど、事業面において厳しい条件が課されている。成績による昇降格はないものの、チームの魅力が無い限り、事業面の条件をクリアすることが難しくなるシステムだ。
今シーズンから新B1の入会へ向けて、審査が始まる。東京Zとしては、大田区総合体育館へ来場してくれたファンのためにも、チームが結果を出していかないといけない。選手やコーチ陣にとっては、相当なプレッシャーであるが、これをクリアしていかないと、これまで一緒に喜怒哀楽をしてくれたファンも離れることになる。
東京Zとしては、まさに今シーズンが様々な面で正念場。髙木ら若手の奮起がキーポイントになる事は間違いなさそうだ。