文 マンティー・チダ
Bリーグ1部に所属する横浜ビー・コルセアーズ(以下 横浜)は2月28日、横浜国際プールで川崎ブレイブサンダース(以下 川﨑)との神奈川ダービーに臨み、65-67と一歩及ばず敗れた。一方の川崎はこれで7連勝を達成した。
横浜は前日のGAME1も65-92で敗戦。
川崎の大黒柱である#22ニック・ファジーカスらが不在だったものの、平均得点82点超の川崎に対して失点を60点台で抑えた。
勝ち負け関係なく失点を60点台に抑えたのは、昨年12月27日の島根スサノオマジック戦以来。
レジナルド・ベクトンやエドワード・モリスといったビッグマンを欠きながら、チームディフェンスは着々と成果を出している。
そして、GAME2では久しぶりにスタート5として起用されたBリーグ最年長選手である#25竹田謙が、チームに欠けていたエナジーをコート上で注入した。
生原秀将の3pで試合終盤に同点まで持ち込むも・・・
GAME2ではスタートで起用された竹田。
ディフェンスから試合が始まると、前日に19得点を許した川崎#14辻直人とマッチアップする。
「昨日はチームとして大分やられてしまった」という反省から、得意のディフェンスでチームにエナジーを注入した。
辻のシュートを落とすことに成功すると、今度は自ら3pを2本決めるなど、序盤で8-2とリードして川崎にタイムアウトをコールさせる。
その後、川崎に同点まで持ち込まれると、横浜はこの試合を持って特別指定選手としての活動が終了する#0河村勇輝、#30須藤昂矢がコートに入った。
川崎のタイムアウト明けから敷いていたゾーンディフェンスが、交代を機に機能をし始める。
河村がドライブから決めた得点をきっかけに、#1パトリック・アウダの3p、須藤のレイアップ、そして#23キング開がBリーグで初得点となる3pを沈めるなど、20-10で川崎を突き放して、1Qを終了する。
2Qに入り、#7篠山竜青の3pなどで川崎に7点差まで詰められ、横浜はタイムアウトを請求。
終盤にかけて、#4ロバート・カーターが果敢にリングへアタックしてファウルを獲得しフリースローを確実に入れるなど、横浜はリードを一時8点差まで広げる。
しかし、藤井にフリースロー3本、横浜のターンオーバーから#35ジョーダン・ヒースに速攻からのダンク、最後は辻に3pを沈められて、川崎に30-28と2点差まで詰められて前半を折り返す。
後半に入り、#0藤井祐眞のバスケットカウント、ヒースのダンクや3pなどで川崎に逆転を許した。
その後も横浜は川崎の勢いを止められず、46-53で3Qを終える。
4Q、7点差を追いかける横浜は#46生原秀将のスティールからアウダがダンクを叩きこむなど、オフィシャルタイムアウトまで4点差まで接近。
その後、篠山のジャンパーなどで川崎に再びリードを広げられるが、横浜はカーターのバスケットカウント、#9森川正明が3pで1点差まで詰め寄る。
川崎#21マティアス・カルファニのダンクでリードを広げられるが、生原が3pを沈めて土壇場で同点に持ち込んだ。
しかし、川崎最後のポゼッションで藤井にミドルジャンパーを決められ65-67となり、ここで試合が終了。
横浜は最後まで川崎を追い詰めるが、勝ち越すまでには至らなかった。
Bリーグ最年長選手の竹田謙がチームにエナジーを注入
横浜は川崎に連敗したものの、自分たちの試合を作ることができていた。
カイル・ミリングHCが「両チームがとても良いバスケットボールのパフォーマンスをファンの方に見せられたのではないか」と総括すれば、川崎佐藤賢次HCも「バスケットの醍醐味を味わえたのでは」と試合内容に満足する。
両チームの対戦成績を振り返れば、60点台で決着がついたこと、横浜が川崎を60点台に抑えたこと、それぞれが初めてのことだった。
こういう流れを作ったのは、昨年12月に行われた川崎戦以来の先発に起用された、Bリーグ最年長選手の竹田謙である。
「チームの安定性を出すために起用しました」
前日はターンオーバーからの失点が多く、試合開始から安定性を出しながらチームにエナジーを出すために、カイルHCはチームの大ベテランにその役目を託した。
「チームに良いエナジーを注入してくれました」と指揮官は竹田の仕事ぶりを評価する。
「前日にかなり悔しい負けをしていたので、チームの中で入りからエネルギーを出して、ディフェンスの強度を上げていこうという話をしていました。誰が出ても一緒だったと思いますが、自分が出ることになったのでしっかりやろうと考えていました」
竹田に気負いは無かった。チームに安定性をもたらすどころか、ディフェンスからエナジーを注入し、オフェンスでは3pを2本決めて、出だしから良い流れを作る役目を果たす。
竹田はこの試合、プレータイムが今シーズン最多の17分12秒だった。それでも川崎のガード陣をしっかりマークし、シュートチェックにも先頭を切ってトライする。まさにチームにおけるディフェンスの鑑と言っても良いのではないだろうか。
好調川崎相手に失点を初の60点台で抑えたチームディフェンス
もう一つ着目したい点がある。
それは川崎を60点台に抑えたチームディフェンス。
横浜は、レジナルド・ベクトン、エドワード・モリスといったビッグマンが不在の中、フロントコートからゾーンプレスで相手ガード陣にプレッシャーをかけて戦った。
リーグ全体のスタッツを確認すると、1試合平均得点はリーグ19位の72.0に対し、平均失点はリーグ5位の76.5。
実際、ディフェンスの実力が発揮できた時は、クロスゲームに持ち込めている。
「チームとしてある程度、ディフェンスの形が出来てきた」とカイルHCも手応えを口にした。
ディフェンスが持ち味でもある竹田は「前日の試合でトランディションや自分たちのミスから失点することが多かったので、これを減らすこと。全員がリバウンドを40分間意識したことでこういう結果につながった」と成果を示せば、
主将の生原も「けが人がいる中で、自分たちはハーフコートで守るよりも、前からプレッシャーをかけて、相手に時間を使わせてタフショットを打たせるかを考えていました。日本人のガードがアクティブにどれだけ動けるのかで失点に大きく影響しますし、2人しかいない外国籍選手にすべてを任せるのもタフな状況なので、彼らを楽にさせられるよう意識しました」と考えながらディフェンスをしていたようだ。
横浜は、第24節終了時点で13勝26と東地区8位に位置する。ワイルドカードによるチャンピオンシップ出場は現実的でないが、昨シーズンまでの1試合平均失点と比較すれば、Bリーグ参入以降では最小の数字で、2018-19シーズンとは約8点、2019-20シーズンと比べれば約5点以上下げている。
レギュラーシーズン残り20試合を切ってくると、チャンピオンシップ進出争いが激化するだろう。
進出圏内のチーム同士による戦いも激しくなるだろうが、ディフェンスが好調の横浜に対して勝利をものにできるのかもリーグ終盤のカギにしておきたい。
チームとしてシーズンをより充実させるためには「良いディフェンスからどのようにオフェンスへ繋げていくのか」が重要になり、これを毎試合やり切れるかだろう。
チームとしての形ができてきたからこそ、シーズン終了までやり遂げてもらいたいところだ。