文 マンティー・チダ
大学の壁を痛感するも、自らリングへアタックすることで活路を見出す
第70回関東大学バスケットボール選手権大会は7月11日、越谷市立総合体育館で決勝が行われ、日本大学が15年ぶり11回目に優勝した。最優秀選手賞の#22飯尾文哉、優秀選手の#12コンゴロー・デイビット、#6野口佑真といった面々の活躍は目覚ましいが、これらの選手たちを司令塔としてまとめ上げた、1年生の司令塔#3米須玲音の存在無くしては成し遂げられなかった優勝だと考えられる。
米須はパスが得意な選手だ。実際、大会全体で19本のアシストを記録してアシスト王に輝くなど、得点に繋がるラストパスを米須は供給。昨冬のウィンターカップでも、針の穴を通すようなパスから何度も得点機を演出するなど東山高校を準優勝へと導いたが、日本大学へ入学すると大学の壁を痛感する。
「高校時代にあれだけ(パスが)通用していたのに、大学に入った頃は(周りが)うまい選手ばかりなので(パスが)読まれていました。自分の中で、どうしたらパスがうまくできるのかなと考えていた時に、スピードをつけてリングへアタックしていけば、カバーが来ると。そこでさばきながら、味方に得点を取らせることを考えていました」
米須は自らリングへアタックし、動きにずれを作るところから活路を求めていた。城間修平HCは「まだ1年生なので、思いっきりバスケットをしなさいと。パスの出しどころ、もう少しインサイドを狙いなさいぐらい」と米須にはある程度自由にやらせていた。「彼の特徴がパスなので、そこを僕が制限してしまうと、彼の個性が無くなってしまう。まだ1年生なので、ある程度ミスをしてもちょっと目をつぶってやらせているところです」と指導方針を明らかにする。
一方、ディフェンスについては「もう求めています」と城間HCは強調した。「1年生だろうが、4年生だろうが、出る選手にはディフェンスをしっかりやろうと。ディフェンスをハードにやろうとシーズンが始まってからずっと言い続けてやってきたので、チームディフェンス、チームオフェンスすることをポイントにしていますので、みんなで作りあげているところです」とチームで戦う姿勢を示した。
日本大学は3年生を中心とする若いチームで選手権に挑んで、優勝という結果を残した。「コミュニケーションを意識して、早くチームへ慣れるために取り組んできた」と米須も1年生ながら、チームにフィットすることを強調。「とにかく楽しんで思い切りやってこい」と東海大との決勝に向けて、このようなコメントを残していた城間HC。3年生が主力となり、1年生の米須を司令塔として据え、ここまで短い期間ながらチームを作り上げてきた。久々にタイトルを獲得し古豪復活の狼煙を上げた日本大学、パスにより一層の磨きをかけてきた米須からは伸び代しか感じない。