文 マンティー・チダ
誰よりもコートの中で冷静にいないといけない
第70回関東大学バスケットボール選手権大会は7月11日、越谷市立総合体育館で決勝が行われ、東海大学は日本大学に敗れて準優勝。4年生の司令塔#11大倉颯太を欠く中、ポイントガードとして多くの時間帯に出場し,大会優秀選手賞を獲得した#5河村勇輝が攻守にチームを牽引した。
昨年の選手権大会は、新型コロナウイルス感染症の影響により、中止に追い込まれていた。高校時代からBリーグでも多くのファンを沸かせていた河村も、選手権大会は初出場。しかし、重たい展開になっても、焦ることはなかったようだ。
「焦らず冷静にポイントガードとして、誰よりもコートの中で冷静にいないといけない」
河村はどんな場面でも冷静に対処していた。東海大学は、大会を通してシュートタッチがあまりよくなかった。「トーナメントに入ってから、自分も含めて東海大学としてのシュートタッチが良くないので、それでも何を大事にするのか」と河村は自問自答。たどり着いた結論は「東海大学はオフェンスのチームではなくて、ディフェンスのチーム」だった。
東海大学は陸川章監督のもと、特にディフェンスへ重きを置いてチーム作りを毎年実施している。「良い風に捉えて、(シュートは)入っていないけど勝ち切れているということで、自分たちはディフェンスのチームなんだということを再認識していることがたくさんある」と河村はディフェンスの重要さを強調した。シュートタッチについては「入れば鬼に金棒ですが、実力や運、シュートタッチはその日によって変わるので、それはぶらさずにしたい」と続けた。
陸川監督は河村について「自分が行くと決断をしたときの彼のシュートは入りますね。感性が出ました。2年生ながら(ゲーム)コントロールしているし、彼は流れに左右されない。精神的な強さがある」と最大限評価する。
決勝戦では日本大学に敗れたが、失点は60点台に抑えて「ディフェンスの東海大学」という面目は保った。もちろんシュートタッチの改善も必要だが、東海大学はディフェンスのチームだと再認識。秋にはインカレが控え、東海大学は連覇を目指すが、その戦いは険しいものだ。選手権を制した日本大学、ベスト4の筑波大学と日本体育大学など、関東大学バスケは強豪揃いで混戦となるのは間違いない。さらなるディフェンスの進化に期待したい。