文・写真 マンティー・チダ
高校バスケットボール「SoftBankウインターカップ2022第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」で京都両洋は京都府第2代表として全国の舞台を初めて踏むことになった。
元京都ハンナリーズ主将の瀬戸山京介コーチ率いる京都両洋が全国大会初出場
京都府の男子バスケットボールは、ここ数年にわたり洛南と東山が出場権を争ってきた。洛南はインターハイで2回、ウインターカップでは4回の優勝を誇り、東山も全国大会では常連校である。
2強の牙城を崩すように、京都両洋は東山を下してウインターカップの代表を獲得。かつて京都ハンナリーズの中心選手として活躍した瀬戸山京介が、コーチとして檜舞台に戻ってきた。
瀬戸山コーチは、Bリーグの前身にあたるbjリーグで2010-11シーズンから4シーズン主将を担うなどチームの司令塔として活躍。有明コロシアムで行われたファイナルズにもチームを導いた。約10年の現役生活を終えるタイミングで、京都両洋からオファーを受けて高校教員へ転身。コーチ就任7年目でウインターカップ出場を果たした。
瀬戸山コーチにマイクを向けたのは京都の現役時代以来で、京都両洋の教員になってからは初めてである。
すごくうちらしい試合だった
京都両洋のウインターカップ初戦は2022年12月24日。相手は、5年連続9回目の出場となった桜丘(愛知)。過去にはベスト4に2回進出を果たすなど強豪校である。
試合は序盤から両チームともにシュートが入らずに重たい展開となるが、桜丘に1Q終盤から引き離されて、5-17と大きくリードを許す。2Qに入ると、スティールからファストブレイクが決まり始めて点差を詰めていくと、終盤にはゾーンディフェンスで桜丘を止めるなど、27-35まで追い上げて前半を折り返す。
後半に入り、桜丘にゾーンディフェンスを攻略されるが、桜丘と互角な試合運びとした京都両洋。4Qには#14小川凌来の3p攻勢などで追い上げを図るも一歩及ばず、74-79で敗れた。
「すごくうちらしい試合だった」
瀬戸山コーチは、試合の振り返りとしてこのように切り出した。
「出だしが悪くて、そこから我慢しながらカムバックしたけれど、最後は力尽きたのかな。でも選手は最後までよく頑張ってくれました。勢いとノリの良さはうちらしいところなので、そういう時間帯が来るのかなあと思っていました。選手には一回来たら絶対にうちの流れになるからと話をしていましたが、来たのが少し遅かったですね」と続ける。
指導者としては初めての大舞台だった瀬戸山コーチ。「私としては、選手たちと過ごす時間を大事にしたいと思っていたので、どこで試合をしても同じです」と舞台の大きさは気にしていない。
むしろ「充実した時間を過ごすことができた」と瀬戸山コーチは、ここまでの充実ぶりを強調した。
「近畿大会が終わってから3年生がウインターカップ予選にたくさん残ってくれました。東山には勝つことが出来て、ウインターカップ本大会への出場権を獲得することができました。新型コロナウイルス感染者が増えてきて、いろんなことを対策しながら毎日バタバタしていましたけど、素晴らしい舞台に選手のおかげで来させてもらって、一日一日が素晴らしい時間だった」とここまでの状況を明かす。
今年の3年生はコロナ禍が始まった時に入学した世代。「入学していきなりオンライン授業から始まったので、本当に苦労をしたことでしょうし、思い描いた学校生活とは違ったと思います。昨年のインターハイ予選では棄権をしたことで、大会一つ出場できないという事態になりました。そういう意味では選手たちと苦楽を共にしたといいますか、もう仲間なので思い入れが特段にあります」と瀬戸山コーチは3年生と過ごした3年間を振り返った。
「空気を読んでくれたり、察してくれたり、僕が何を考えているのかというイメージを持ちながら、自分たちで集まって遊んでいますし。選手から得るものたくさんありましたし、気づきが多かったですね」と選手からの学びを上げた。
そのおかげなのか、選手たちは、自ら考えながら表現できるような人間に成長できていた。瀬戸山コーチと過ごした3年間を今後に繋げてもらいたいところだし、瀬戸山コーチにとっても来年以降さらに良いチームを作って檜舞台に戻ってきてくれることを期待したい。