文 マンティー・チダ
日本ラグビー協会は10日、2019年ワールドカップ準々決勝以来の実戦となる12日のサンウルブズ戦へ向けた登録メンバー25名を発表。FLリーチ・マイケル主将をはじめ、2019年ワールドカップ代表組が並ぶ中、FL小沢直輝、WTBゲラード・ファンデンヒーファーを先発として起用する。
今回の日本代表とサンウルブズのメンバーは、海外でプレーする選手を除けば、日本を代表する現役ラガーマンが集結することになった。日本代表はワールドカップ後初の実戦となり、戦術も「ワールドカップ2019の時とほぼ変えない」とジェイミー・ジョセフHCは話す。一方のサンウルブズも1日限りの再結成となるが、指揮をとる大久保直弥HCは「チームとして良い準備はできている」とあくまでも狙うは勝利だ。
両チームの登録メンバーは以下の通り
【日本代表】
ジェイミー・ジョセフHC
1 稲垣 啓太 (パナソニック)※
2 坂手 淳史 (パナソニック)※
3 ヴァル アサエリ愛 (パナソニック)※
4 ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ)※
5 ジェームス・ムーア (宗像サニックス)※
6 リーチ マイケル (東芝)(CAP)※
7 小澤 直輝 (サントリー)
8 アマナキ・レレイ・マフィ (キャノン)※
9 茂野 海人 (トヨタ自動車)※
10 田村 優 (キャノン)※
11 ゲラード・ファンデンヒーファー (クボタ)
12 中村 亮土 (サントリー)※
13 ラファエレ ティモシー (神戸製鋼)※
14 レメキ ロマノ ラヴァ (宗像サニックス)※
15 山中 亮平 (神戸製鋼)※
16 堀越 康介(サントリー)
17 クレイグ・ミラー (パナソニック)
18 垣永 真之介 (サントリー)
19 ジャック・コーネルセン (パナソニック)
20 テビタ・タタフ (サントリー)
21 ピーター・ラブスカフニ (クボタ)※
22 齋藤 直人 (サントリー)
23 松田 力也 (パナソニック)※
24 シェーン・ゲイツ (NTTコム)
25 シオサイア・フィフィタ (近鉄)
【サンウルブズ】
大久保直弥HC
1 森川 由起乙 (サントリー)★
2 庭井 祐輔 (キャノン)★
3 北川 賢吾 (クボタ)★
4 長谷川 崚太 (パナソニック)★
5 ヘル ウヴェ (ヤマハ発動機)★
6 リアキ・モリ (日野)
7 エドワード・カーク (キャノン)
8 ベン・ガンター (パナソニック)★
9 荒井 康植 (キャノン)★
10 山沢 拓也 (パナソニック)
11 尾﨑 晟也 (サントリー)
12 梶村 祐介 (サントリー)
13 ディラン・ライリー (パナソニック)
14 髙橋 汰地 (トヨタ自動車)★
15 野口 竜司 (パナソニック)
16 彦坂 圭克 (トヨタ自動車)★
17 三浦 昌悟 (トヨタ自動車)
18 淺岡 俊亮 (トヨタ自動車)
19 秋山 大地 (トヨタ自動車)
20 布巻 峻介 (パナソニック)
21 中嶋 大希 (NEC)
22 前田 土芽 (NTTコム)
23 鹿尾 貫太 (ヤマハ)
24 竹山 晃暉 (パナソニック)
※2019ラグビーワールドカップ出場メンバー
★日本代表からサンウルブズへ合流メンバー
「試合の入りが重要、タフなゲームがしたい」日本代表・ジョセフHC
事前の別府合宿からジョセフHCやマイケル主将ともに「良いチームをつくるためにもコネクションがどれだけ早くできるのか」を最重要課題としていた。しかし、ワールドカップ以来最初の実戦のため、先発メンバーには「2019年に出場していた選手に権利がある」としたことから、ワールドカップ出場組を中心に構成する。
そして、ジョセフHCが改めてこの1試合に求める事として、この後に控えるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦への準備とした上で「試合の入りが重要」とした。
「サンウルブズはノープレッシャーだから、ボールをたくさん回していくだろう。ハイテンポな試合になるはずなので、タフなゲームがしたい」と試合の結果だけでなく、内容の濃さに対しても注文をつける。
今回の日本代表にはノンキャップ組も多数選出された。「ニューカマーは驚いただろう。しかし、リーダー陣が新しい選手たちに自己責任の重要性を積極的にやってくれた。限られた時間で選手たちが持っているものを出し切ることが重要だ」とリザーブや途中からサンウルブズに回った選手たちにも期待を寄せる。
「何よりも適応力が重要」サンウルブズ・大久保HC
対戦相手となるサンウルブズは2020年6月までの5年間、ワールドカップ2019へ向けた選手強化の一環として、スーパーラグビーに参戦していた。それから約1年後、日本代表チーム強化試合の対戦相手として再結成される。
準備期間が短かったというところもあり、大久保HCとしても「蓋をあけてみないとわからない」としたが、それが本音だろう。「このレベルになるとモチベーションどうこうではない。インターナショナルで戦うことにおいてスキルやスピードも重要だが、何よりも適応力があるのかないのか。国際試合を経験するなかで、あれがないとなって試合が出来ませんとなれば、生き残っていけない。そういう意味で日曜日からチームを引っ張ってきてくれた選手、途中から合流してくれた選手、タイミングは違いますが、チームで覚悟を決めて積み上げてきている感覚はある」と手応えを掴んでいる。
戦術もこれまでのサンウルブズ同様に「コーチが大きな枠を作って、選手がコミュニケーションを取りながら作り上げていく」という方針を示す。別府から選手が合流してからは「頭の整理」に時間をかけてきていた。急造感はぬぐえないが、サンウルブズはこれまでも練習時間は1日から1日半しか確保できない環境で戦ってきている。海外で培ってきた瞬発力や対応力を武器に、日本代表とどんな勝負を見せてくれるのか。代表においても、今後こうした適応力が求められるだろう。結果よりも一つのレガシーとして残してもらいたいところだ。