文 マンティー・チダ
関東大学ラグビー対抗戦グループAは第6週が11月3日、駒沢オリンピック公園陸上競技場で行われ、帝京大学が早稲田大学を29-22で下して、両大学とも勝ち点を19とした。
スクラムやコンタクトの圧力で早大を圧倒
試合開始から、両大学ともキックの打ち合いから始まるが、早大のキャッチミスによるノックオンから、敵陣インゴール手前で帝京大はスクラムを獲得する。
FWの圧力やコンタクトで帝京大が早大を圧倒すると、HO江良颯が倒れ込みながら先制トライに成功。23分には、早大が帝京大のスクラムに押されて、こぼれ球を狙っていた帝京大SH李錦寿がボールを奪取し、インゴールに飛び込んだ。
前半終了間際には、帝京大のノットロールアウェイから、早大SO吉村紘にペナルティーゴールを許して3点を返されるが、帝京大は12-3と早大をリードして前半を折り返す。
後半に入ると、追いかける早大が先にチャンスメイク。ターンオーバーからランで敵陣に入り込む。
いったんは帝京大にキックで戻されるが、帝京大側10m地点から、CTB岡﨑颯馬が突進し、PR小林賢太を経由して、SH宮尾昌典が走ってトライ。帝京大は早大に2点差まで詰められた。
追い上げられた帝京大は、後半12分に3選手を入れ替えると、スクラムでは激しいプレッシャーをかけて早大のコラブシングを誘い、タッチキックから敵陣インゴールへ。フェーズダウンを繰り返して、最後は交代で入っていたミティエリ・ツイナカウヴァドラが右隅にトライ。
26分にも、早大のノットリリースザボールから敵陣深く入ると、帝京大は重量感あるアタックを繰り返して、CTB志和池豊馬がトライ。32分にも途中出場のリッチモンド・トンガタマが飛び込むなど、立て続けに3トライを決めて早大を突き放した。
早大は機動力を生かして、WTB槇瑛人、FB河瀬諒介が続けてトライをするも、反撃及ばず。帝京大が早大を29-22で下した。
最初のスクラムをしっかりできたことで8人全員がかなり自信を持った
力強さと展開力の対決となったこの試合は、スクラムやアタックで激しいプレッシャーをかけ続けた帝京大に軍配が上がった。
その象徴に、故意にスクラムを崩すペナルティであるコラプシングを早大が何回も数えたことから、帝京大はペナルティキックを多く獲得し、タッチキックで大きく前進してから、敵陣インゴール前ではアタックを繰り返してトライを重ねた。
「ゲームに近い意識で、ゲームと同じような練習をすることができた」と帝京大のPR細木康太郎主将は、早大戦に向けて時間をかけて準備してきたことを明かす。
自慢のスクラムについても「何かを変えたわけではない。8人でやり抜く。最初のスクラムをしっかりできたことで8人全員がかなり自信を持った」と先制トライの起点となったスクラムが、彼らに大きなエネルギーを与えていた。
先制トライまでにも、要所で存在感を出していた江良も「声をかけつつ、自分も走り続けることを意識した」と役割に徹する。
やるべきことにしっかりフォーカスし、それをやりぬいたことから、帝京大は大一番で結果を残した。
早大としてもハイパントからゲインを狙っていたが、「最初からあそこまで入られるとは」とPR小林賢太がコメントするように、早大の想定以上に帝京大のプレッシャーは強烈だったようである。
この後は、首位を走る明大との対戦を控える帝京大。「ゲインされたところは反省しないといけない」と細木が話す通り、早大に速攻からゲインを許してトライされる場面もあった。
東京五輪ラグビー7人制日本代表の石田吉平を中心とした明大のバックス陣に対して、どこまでの対策を施してくるのか。20日の対抗戦大一番に注目したい。