文・写真 マンティー・チダ
関東大学サッカーリーグ戦1部は24日2試合が行われ、専修大学は早稲田大学に1-3で敗れた。
依然として2部への自動降格圏内から脱出できていない。
敗れた専修大学ではあったが、大きな収穫もあった。
1年生2人がスタメンとして出場。その一人で、左サイドから正確なキックを何度も繰り出していた選手が#30DF遠藤太一(専大松戸)だ。
左サイドバックで先発出場した遠藤太一は後半アディショナルタイムまでピッチに立ち、チームに新しい風を吹き込んだ。
左サイドバックとしてほぼフル出場した遠藤太一
遠藤太一は専大松戸高出身。
希望に満ちた大学生活の始まりだったが、夏に両足の骨折をしていた。
「両足を骨折したときはすごく調子が良くて、そのなかで怪我をしてしまったので、悔しい部分はありました。しかし、怪我をしてしまったのは変えることができないし、その中でどれだけ成長できるのか、自分自身ができることを追求していこうと、この3か月から4か月はやってきました」とここまでの道のりを話す。
そして、公式戦デビュー前日に髙崎康嗣監督からスタメンを告げられた遠藤太一。
「トップチームに戻ってきてから1週間でスタメンになりましたが、練習で調子は良かったですし、紅白戦でも自分が試合に出るなあという雰囲気はありましたので、心の中で準備はしていました。ここでやってやろうという気持ちはありましたけど、頑張ろうと気合を入れてしまうと固くなってしまい良いプレーができるタイプではないので、特に何も考えずに平常心のまま行こうかな」と試合を迎える際の心境を語った。
実際のところは後半のアディショナルタイムまでプレーする。
「最後はきついところもありました。センターバックの#21井上詩音選手が2本ぐらいスライディングで守ってくれたシーン、あそこは自分がもっとやらないといけないですし、そこの部分で戻れないというのはまだまだ自分の気持ちや筋力、持久力とかで甘さが出てきたのかなと思います」
そして、得意としているキックについてはこう自己評価した。
「セットプレーとか流れの中でもそうですし、自分の中で思い通りに蹴れないというのはありました。芝の長さとかで自分自身適応できないところもあり、当てる角度を変更するとか修正できずに試合が終わってしまったのは悔しいです」と不本意だったと明かす。
専修大学は今季初めて観客を入れた試合を行い、遠藤太一は味の素フィールド西が丘でプレーするのも初めてだった。
「慣れない部分もありましたが、誤差でしかない」とピッチ状況とは関係なく自分の出来と向き合う。
この日、同じ1年生の#15浦川流輝亜を遠藤太一とともにスタメン起用した髙崎監督は「彼らはゲーム勘があって、吸収力がすごい」と評価していた。
「けがをしてサッカーができなくても僕の話をずっと聞いてくれて、それをすんなり実行できる。ピッチ外の仕事も自分から進んでやれるので人間的にも良いですよ。どんなに面倒なことでも「僕がやります」と。休んでと言っても「楽しいのでやらせてください」と言ってくる選手です。そういう人間性も見えているし、周りはわかっている。映像を撮影することや相手チームの分析も彼らがするわけですが、そういう苦労を自分で変えていきます。彼らにとって苦労ではない。「勉強だし、為になるので良いです」と。そういうのを見ることができる選手は伸びる」と続けた。もちろん「それが続くかが問題」とも付け加えることも忘れない。
28日には順延していた第12節が行われ、桐蔭横浜大学を3-2で下してようやく今季2勝目を手にした専修大学。
1年生の2人も2試合連続でスタメン出場を果たし、勝利に貢献する。
最後に遠藤太一から定位置確保に向けて意気込みを伺った。
「正直ポジションは関係ないですし、役割があるだけでフォーメーションは関係ないと髙崎監督からも言われているので、その中で与えられた役割を自分自身の中でしっかり理解して、確実にこなせるようになれば定位置確保につながると思います。頭の中で髙崎監督がやろうとしていることをわからないとチーム全体としてうまくいかないですし、そこで理解している人を髙崎監督は使うと思いますので、しっかり見返して信頼を勝ち取りポジションを確保できるようにしたい」
今季は2部降格圏で苦しい戦いを強いられている専修大学だが、過去には4連覇も経験しているチームだ。
今季の1部優勝はもう厳しいかもしれないが、来年からの浮上に向けて、遠藤太一をはじめとした1年生が専修大学の新たな歴史に1ページを加えられるのか、今後も注目をしていきたい。