文 マンティー・チダ
Bリーグの横浜ビー・コルセアーズは5月1日、横浜武道館で新潟アルビレックスBBとのホーム最終戦に臨み、84-70で勝利。これで横浜はBリーグにおいて、チームのシーズン最多勝利18に並んだ。そして、今季限りで現役引退を表明した#25竹田謙にとっても、現役最後のホームゲームとなった。
「ハーフコートディフェンスは精度高くできるようになった」竹田謙
前日のGAME1を2点差で新潟を退けた横浜。GAME2で先発出場した竹田は、1Q出だしでゾーンディフェンスからスティールに成功し速攻へ持ち込むと、#4ロバート・カーターのダンクをアシストする。競った展開は試合終盤まで続き、4Qでは一時66-64と2点差まで詰められるも、カーターの3pを皮切りに#7レジナルド・ベクトンのダンク、カーターが再び3pとここで一気に引き離した。#30須藤昂矢が好守備をみせるなど、チームディフェンスが機能して勝利に繋がった。
試合後の記者会見で竹田は「これまでの4シーズンと比べて、失点の部分は改善してきて、自分たちの武器になった。ハーフコートディフェンスは全員が精度高くできていた」とチームが成長した部分を明かす。
竹田は攻守で献身的な動きができる数少ないプレイヤー。「特に何をしたというのは無いのですが、チームルールは明確にありましたし、それをしっかりやるということを突き詰めたことでこういう結果が得られたと思います。一人一人がディフェンスに関して自信をもって取り組めたのではないか」とした。
山田謙治AGM兼ACが竹田謙から叱られたエピソードを披露
竹田は記者会見後、ホームゲーム最終戦セレモニーと自らの現役引退セレモニーに臨んだ。
ホーム最終戦セレモニーでは、チームの公式ソング「We are B-CORSAIRS 2020-21」を披露する場面で「今も昔も野山にまじりて よろづのことに竹田謙」という歌詞において、歌手Eyes’さん、チアリーダーズ「B-ROSE」と一緒に振付を踊る場面もあった。
その後に開催された「竹田謙選手引退セレモニー」では、ブースターからのメッセージに続き、#22秋山皓太、山田謙治AGM兼ACのスピーチがあった。竹田とは現役時代からともに戦ってきた山田AGM兼ACは「ある試合で何もできなくて終わった時、唯一竹さんから『きちんと準備をしないといけない』と叱られた」と竹田とのエピソードを披露した。そして、竹田は会場に残っていたブースターへ向けて、現役最後のスピーチをする。
竹田謙現役引退ラストスピーチ「本当にバスケットが大好きになりました」
「僕のために皆さん残っていただき、このようなセレモニーまでありがとうございます。
前回、栃木で引退の記者会見をしたのですが、その時の映像を見返すとめちゃくちゃ暗い顔をしていたので、2回目ですから反省を生かして、なるべく笑顔を心がけてスピーチさせていただきたいと思います」
「本当にビーコルへ来てあっという間の5年間でした。(当時)37歳、2年間のブランクがある中で良く採ってくれたなと思いましたが、皆さんに良くして頂いて本当にバスケットが大好きになりました。そして、バスケットを通してたくさんのことを学ばせていただきました。特にこの1年間は、コロナの中で皆さんに直接お会いできないことや、練習などでも制限があるなかで大変な想いをしましたが、こうやって皆さんが盛り上がってメガホンを叩いてくださったり、みんなで集まってわいわいがやがやプレーしたりと、改めてスポーツのすばらしさを感じられる良い機会だったと思っています。本当に素晴らしいスポーツの仕事として、今までやってこられたことを嬉しく思いますし、感謝しています。そして、ビーコルというチームで素晴らしい仲間と一緒にプレーできたことを誇りに思っています」
「ビーコルとしては、試合でこれからどんどん多くのことができる、勝てるチームだと思っています。皆さんと一緒にそういうチームへ大きくしていきたいと思っていますので、これからもビーコルの応援を宜しくお願い致します」
「最後に皆さん一人一人の名前をあげて、お礼のあいさつをしようと思ったのですが(年数も長く、人数も多いということで)これからの自分の人生の中で感謝の気持ちを伝えられるような生き方をしていきたいと思います」
(※スピーチに関しては可能な限り再現)
竹田は落ち着いた口調でスピーチを披露し、言葉の重みをより感じた瞬間でもあった。その後、ホームゲーム最後のフリースロー、チームメートによる胴上げが行われ、セレモニーは終了する。
ホームゲーム最終戦となった試合でも、竹田がコートに登場すると一際大きな拍手が沸き起こった。37歳から始まった2度目のプロバスケットボール選手生活。ブースターからのメッセージで、アクシデントから緊急にイベント参加を要請されて、代役を務めたこともあった。2度目の現役復帰、3度目の現役引退も考えてしまいがちだが、これまで積み上げてきた経験を生かして、バスケ界で再び活躍する雄姿を見てみたい。