文 マンティー・チダ
関東大学女子サッカーは8月22日、スポーツ日大アスレティックパーク稲城サッカー場で1部第5節が行われ、首位を走る帝京平成大学と日本大学の対戦は0-0のスコアレスドローに終わった。
雨がぱらついた時間もあったものの、曇りがちの天候で行われたこの試合。今季から1部に昇格した日本大学は、帝京平成大学の攻撃に耐えながらも、速攻から決定機をものにできなかったが、収穫のある引き分けだった。一方、連勝を伸ばしておきたかった帝京平成大学は、痛い引き分けとなった。
試合経過
日本大学 0-0 帝京平成大学
6位の日本大学と首位の帝京平成大学の対戦。今季初対戦。
帝京平成大学は前半からサイドを中心に攻撃を組み立てるが、日本大学が守備で再三凌いだ後、攻撃に転じる。一進一退の攻防が続く中、日本大学のディフェンスラインが上がってきたところから、帝京平成大学はロングパスでチャンスを作ろうとするが、日本大学のチェックに合い決定機に持ち込めない。結局、互いに得点ができず、0-0で前半が終了。
後半の序盤は帝京平成大学のペースで進んだ。日本大学もカウンターからゴール前フリーの状況を作るものの、得点機を逃す。その後はお互いに譲らない展開となり、試合はスコアレスドローで終えた。
「チャレンジャー精神で自分たちのサッカーができた」日本大学・佐藤結花主将
2部から昇格して、首位の帝京平成大学と初対戦でスコアレスドローの引き分けとした日本大学。
「勝ちたかったのですが、最低ライン引き分けを目標にしていました。チャレンジャー精神で自分たちのサッカーができた。まだ前期なので、次勝てるという風に持っていけるので、自分たちにとっては良い影響だった」と佐藤結花主将は引き分けという結果ながらも、勝ちに等しいぐらいの手ごたえを掴んでいた。
それもそのはずで、序盤から帝京平成大学の攻撃に対して的確にチェックを続けて、自分たちの攻撃へ転じた。決定的な展開こそ少なかったものの、首位を走る帝京平成大学を無得点に抑えたことは、日本大学にすれば大きな収穫。日本大学がディフェンスラインをあげたことで、帝京平成大学はロングボールから一気にゴールへ迫る作戦を展開するが、「チーム内で相手が長いボールを蹴ってくると分析をしていた」と佐藤主将が話す通り、事前の作戦が功を奏した格好となった。
そして、日本大学から何よりも成長を感じたのは、攻守の切り替え。「早稲田大学と試合をしたときに力の差、切り替えの遅さを自分たちで身をもって感じたため、練習から切り替えを早くする意識付けをしてきた結果、だんだん出来るようになってきた」と佐藤主将は成果を強調した。
「ひとつひとつのチャンスを決め切るというところを練習から大事にしたい」
日本大学は自分たちの守備をやりきれば、相手を無得点に抑えられるという自信がついたはずだ。あとは、いかに得点していくのか。ワンチャンスをものにして、相手を無失点に抑えれば、まだまだ強くなれそうな予感がする試合だった。
「勝たないと意味が無い」帝京平成大学・佐久間未稀主将
首位の帝京平成大学にとっては、痛い引き分け。佐久間未稀主将は「勝たないと意味が無い」と悔しさを噛みしめていた。
帝京平成大学は、序盤から日本大学の守備に苦しみ、攻撃も縦パス一本で単調。
「相手が上手にサイドへ振ってくるチームで、自分たちが相手の思うとおりに振られてしまい、スペースが間延びしてしまったので、攻撃も守備から繋げることができなかった」と佐久間主将はピッチ上の状況を明かす。
前半の結果を受けて、帝京平成大学は後半からはシステムを変更し、試合に臨んでいた。
「後半に向けて、戦い方を変えたかった。監督から空いている部分に気づいているのか、声をかけてもらったのですが、気づいていても変えられないことが多かった」と佐久間主将は話す。
帝京平成大学はすでに皇后杯で敗退しているため、残っているのは関東大学女子リーグ戦とインカレ。昨シーズン、インカレは制しているものの、関東大学女子リーグ戦では4位に終わっていた。
「関カレ(関東大学女子リーグ)に向けての思いはすごく強いので、1試合ずつ勝つことを目標としていますが、今年はチームが成長することにすごくポイントを置いているので、試合ごとにチームが強くなっていくようにこだわっていきたい」と佐久間主将は関東大学リーグ戦1位通過に意欲を示した。
帝京平成大学は、これから対戦を控える上位チームに勝利を続けていかないといけない。そのためには、この日の引き分けを教訓に、まだまだチームとして成長を続けていく必要があるようだ。
※2ページ目は試合写真を掲載しています。