【Bリーグ第12節】東京Zが「イシュの離脱」から3連敗、輪島射矢がチームに求める「勝者のメンタリティー」

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バスケットボール
©マンティー・チダ
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文 マンティー・チダ

BリーグB2に所属するアースフレンズ東京Z(以下東京Z)は12日、世田谷区立総合運動場体育館で香川ファイブアローズ(以下香川)と対戦し70-90と完敗。第11節の青森戦から3連敗となった。

香川戦は「完敗」という言葉が一番似合うぐらい、内容も悪い試合となった。

11月末の仙台戦GAME2では若手中心の編成で逆転勝利。

第10節のアウェイ熊本戦はGAME1では接戦で敗れたものの、GAME2ではロースコアゲームを勝ち切り、ようやくチームとしても上昇ムードが描けるのかと思われたが、ここでアクシデントが発生する。

#20イシュマエル・レーンが熊本戦GAME1で負傷し、左前十字靭帯断裂で全治10ヶ月程度と発表されて戦線離脱(その後チームから帰国、契約解除が発表)。

熊本戦からハードスケジュールをこなしていたチームは、レーンの離脱で大きなショックを受けていたようだ。

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香川に良いところなく「完敗」

GAME1で香川に敗れた東京Z。GAME2も出だしから香川にペースを掴まれてしまう。

試合開始早々、東京Zは#14久岡幸太郎の縦パスから#52アレクサンダー・ジョーンズが得点し幸先よくスタートするが、その後はシュートまで持ち込むも得点にはつながらない。

その間、#34兒玉貴通の速攻などで2-8と香川に大きくリードを許し、東京Zはタイムアウトを請求する。

タイムアウト後、久岡の3pなどで追い上げるシーンもあった東京Zだが、香川に終盤突き放され12-22で1Q終了。

2Qに入っても、東京Zの点数が伸びない。

それを尻目に、#30テレンス・ウッドベリーを中心に香川が得点を重ねて東京Zを突き放す。

オフィシャルタイムアウト後、18点差を追いかける東京Zはジョーンズのジャンパー、#4ケイン・ロバーツのファストブレイクで流れを作りかけるが、個人ファウルを喫して香川にフリースローを与えるなど、逆に点差を広げられる。

終盤にジョーンズがジャンパーで得点するも、26-50と東京Zは香川に大きく引き離されて前半を終えた。

後半、東京Zはジョーンズを中心に得点をしていくが、香川を捉えるところまでいかない。

4Qでロバーツがスピードを生かした攻撃でインパクトを残すが、香川に前半許したリードが最後まで影響し、70-90で東京Zは香川に敗れた。

「イシュがいない」というのは精神的にものすごく大きかった

会場に駆け付けたファンからすれば、メンタル的にも厳しい試合となり、試合途中で席を立つファンの姿もあった。

仙台戦GAME2の劇的な逆転勝利、アウェイ熊本戦ではロースコアゲームを勝利した後だけに、ファンとしても香川戦では連勝も期待しただろう。

しかし、それは叶わなかった。

やはり、レーンの離脱が想像以上に影響していた。

東頭俊典HCは「仙台戦GAME2では若手で勝ち切った。熊本戦GAME2では若手とベテランで勝てたのが大きなところだったけど、その試合にイシュ(レーン)はもういなかった。『イシュがいない』というのは、精神的にものすごく大きかったようで、僕はイシュが靭帯切っているとは思っていなかったため『イシュはいる』とチームに話をしていた。これで熊本戦GAME2を勝ち切れば、次の青森から乗っていこうというところに、イシュの左前十字靭帯断裂という一報が飛び込んできた。その情報が流れた時の空気感がものすごかったので、青森戦も『イシュのために』とチームに言いました。選手はみんな切り替えようとしていたけど、もしかしたら自分もどこかでそれを出してしまっていたのだろう。どうしてもイシュを見ると感情的になってしまう。選手もそういうのに影響されてしまっているのかもしれない。僕がもっと先頭に立って戦わないとダメかなというのがすべて」と話す。

今シーズンはコロナ禍もあって、チーム強化に充てる時間も少なかった。

その中で東頭HCはこれまで経験したことのない状況においてチーム作りを遂行し、結果を残さないといけないというプレッシャーと戦っていた。

「(ドゥレイロン・)バーンズが来たのは開幕5日前。体重オーバーで来日して開幕5日前に合流だから、通常のセオリーが全く通じない。ガードの選手がそういう状況で来ることがほぼ無いから。6週間あればまた別の話ですけど、コンディションが整っていない中でプロが試合をするというのを僕は経験したことがない。さらに、引退しようとした人間が来て2週間で試合に出ろという、しかも36歳。あとは23歳以下が5人。上手く使ってあげたいのですが」

東頭HCはそんな苦悩と戦いながら、仙台戦GAME2をきっかけにチームも上昇ムードへなってきたところから「アレックス・ジョーンズとイシュで落ち着く目途が見えたのですが」とほっとしたところで起こったレーンの戦線離脱である。

コートからでは見えない様々な想定外な出来事が、チームには起こっていたようだ。

女子チームでは指揮官も兼任する輪島射矢が客観的にチームを分析

©マンティー・チダ

ある選手にも客観的にチームの現状を伺った。

海外でもプレー経験があり、2018-19シーズンから東京Zに所属している#41輪島射矢だ。

35歳とベテランの域に達する選手であり、今シーズンから女子の日本社会人地域リーグ「東京ヴェルディGOLD’S」のヘッドコーチに就任し、指揮官と選手という2足のわらじを履いている。

違うチームで指導者をしながら、東京Zで選手としてプレーする輪島に、様々な目線からチームの現状を語ってもらった。

香川戦GAME2に関しては、前半わずか26点しか獲得できなかった。

スタッツを見てみると、シュートパーセンテージが前半終了時点で2ポイントが42.3%、3ポイントが8.3%。アシストは4でターンオーバーが2だった。この数字からわかるのは、いかにパスを回せていなかったかということである。

実際、ポイントガードがバックコートからずっとボールキープをして、誰にもパスをせずにシュートを打って入らないというシーンが数多く見られたのである。

「今日(GAME2)に限っては、何が何でも『イシュのため』にも勝とうという気持ちが良い意味でありすぎて、感情的なオフェンスとなってしまい、シュートタッチがいつもと違う感じはみんなから見受けられた」と輪島はGAME2の前半をこう見ていた。

つまり、選手の立場からでも「イシュのため」による影響はあったようだ。

しかし、ターンオーバー2というのは「評価できるポイント」と輪島は話す。

「ボールタッチが少なくなってしまったのは確かにありますが、良い方向で言うとボールをみんなでシェアするとか、この人にボールをタッチさせるというのが多くて、停滞することがこれまでありました。前の仙台戦(第4節)がそうで、24秒バイオレーションがすごく多くあって、最近オフェンス面で特に(久岡)幸太郎選手がどんどんボールプッシュしてみんなで走ろうと。GAME1では熊本戦や青森戦で出来ていたボールプッシュの流れを作るために、ビッグマンがボールをすぐに出さないといけなかったのですが、それに対して(僕の印象ですが)アレックス(・ジョーンズ)がチームに加入して間もないことから、チームでボール出しするタイミングがわかっていない部分もありました。そうすると、チーム内で少しのズレが起こってしまい、無理矢理にチームのリズムを作ろうして単調となり、停滞します。GAME1はそういう影響を受けて、みんながイライラをしていました。強いチームはそういう時に良い影響を与えられますけど、東京Zは若手が多いということもあり、悪い方の影響を受けてしまう選手が多い」と続ける。

ちょっとしたズレが積み重なっているようだ。

チームに求められる「勝者のメンタリティー」

では、これからどうすればチームはもっと良くなっていくのか。輪島は「1回決めたことをできないチーム」とチームの現状を捉えていた。

「もしも試合に勝ちたいのであれば『勝者のメンタリティー』。つまり、勝者らしく振る舞えば、おのずと結果がついてくると思われます。今はどんなにリードしていても、負けているチームの顔で戦っていることが多いし、勝っていること自体に慣れていない。負けていても『自分たちは勝者だ』という顔や態度でチームの雰囲気を作る必要があると考えています。外国籍選手には『(シュートを)決められることはあるから、それに対して頭を下げるのではなくて、やられたらやりかえせば良いだけだからやろうぜ』と集めて声をかければ、彼らから『OK』と返ってきます。ガードの選手にも『どんどん好きなようにやっていいよ』と。みんな真面目なので、無理やりでも勝者らしく振る舞った方が自然と自信につながるし、小さなミスがあまり気にならなくなります。継続できない部分に関しては、ベンチで自分たちのルールを決めました。例えば、ベンチでみんなの振る舞いをどうするのかという話をしたときに『自分がされたら嬉しいことを毎回ベンチではしてあげよう』と。これを継続できれば、ベンチからコート上(の選手に対して気持ち)を上げられると思うのですが、この2日間はコート上から負のオーラをベンチが受けてしまいました。『自分たちはこれだ』と決めていたものを、良い悪い関係なくずっと継続することが大切です。メンタルのアップダウンが激しすぎるために、ベンチで出来ないのにコート上でできるわけがない。それはスタメン、36歳、18歳、外国人や日本人関係なく、僕らはチームで戦おうとみんなで決めたわけでチームの約束事になります。約束事は守ろうぜと僕は思う。それを言ったところでみんなへ心が響かないため、僕はひたすらベンチで声を出して、誰かとハイタッチしていました。このチームはすごく良いチームだからこそ、みんなのことがお互いにすごく好きで、仲の良さをもっとフランクにバスケットボールやベンチですればよいのに、なんか畏まっている。こういう小さなことの積み重ねが大きなものに絶対なってくると思います」

輪島はどんな状況においても「勝者のメンタリティー」を持つことが重要だと力説した。

レーンの離脱。主力選手の途中離脱は、長いシーズン戦っている中で起こりうる事象であり「そういうことでメンタルのアップダウンをしている場合ではない」とした。

「そのアップダウンを作ってしまったら、イシュを永久戦犯にしているようなもの。それは彼の責任にしてはならない。マインドセットができれば、仙台戦GAME2、熊本戦GAME2の様な試合ができる。このチームは優勝できるぐらいのポテンシャルがある。このレコードのチームではない。ただ、ちょっと良くないことが起こるとすぐに疑ってしまう。自分たちが正しいのかどうか。何か悪いところを探すことはコーチの仕事です。コート上のアジャストは選手同士で必要だけど。メンタル的なこのアップダウンは常にフラットで。少しずつ上がっていくのは良いですけど。コーチをしているからこそわかってきました」

輪島は別のチームで指揮官を経験しているからこそ、メンタルをコントロールする重要性を熟知していた。

しかし、メンタルをフラットにすることは「ものすごく難しい」と話す。

「選手全員にリーダーシップがあるわけではないし、同じ環境でそれぞれ育ってきたわけではない。僕もこういうことを言えるようになりましたけど、それはこれまで散々泣いて、悔しい想いをしてきたから。試合に出られない、シュートを決められないとか色んな想いがあって、それを我慢しながら徹底して『輪島射矢』という表現者としてずっとやってきましたから。それを若手に言ったところで、言ったその日はできるかもしれませんが、次の日に同じことをできますかと。違う問題が起こった時に、絶対こうなるので。その時には肩を組んで、笑ってというぐらいの気持ちで良いと。でも、ちょっと前よりはコミュニケーションができています」と苦しいチーム状況の中でも、輪島はチームから成長の足音を一歩ずつ肌で感じていた。

最後に輪島は「ファンの皆さんが誇れるチームや選手でいられるようにしていきたい」と決意表明する。

レーンの退団はある意味乗り越えないといけない壁だ。

どんな状況においても「勝者のメンタリティー」で振る舞うこと。

これはアースフレンズ東京Zの選手やスタッフだけでなく、ファンも声は出せないが「勝者のメンタリティー」で応援する気持ちが必要なのかもしれない。

いずれにしても、まだシーズンは半分以上残されている。

チームに関わる全ての人々に「勝者のメンタリティー」を持つことが求められているのではないだろうか。

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