文・写真 マンティー・チダ
Bリーグ1部に所属する横浜ビー・コルセアーズ(以下 横浜)は、横浜国際プールにアルバルク東京(以下 A東京)を迎えてホーム開幕戦を開催した。
GAME1が57-83、GAME2も65-72でいずれもA東京が連勝。
横浜は今シーズンからカイル・ミリングHC(以下 カイルHC)が指揮官となり、この試合がホームでは初めての采配となった。
今回横浜は王者に連敗を喫したのだが、GAME2は試合が終わるまでファイティングポーズを決して崩さなかった。
その象徴が試合のあらゆる場面で現れることになる。
最後は3点差まで迫ったが・・・
試合開始直後は、A東京のモーションやピック&ロールに翻弄されリードを奪われる展開だった。
しかし残り5分を切って、#9森川正明がこの試合でチーム初得点をあげると、#7レジナルド・ベクトンがジャンパー2本など同点に持ち込む。
結局1Qは16-16の同点で終えた。
2Q開始のタイミングで、横浜は#32エドワード・モリス以外の4選手を入れ替えた。
交代でコートに入ったばかりの#30須藤昂矢がオフェンスリバウンドからジャンパーを外すものの、直後のディフェンスではフロントコートからプレッシャーをかけて、A東京#13菊池祥平からスティールを奪う。
すぐにボールを取り返しにいく菊池だったが、アンスポーツマンファウルが宣告され、須藤はそこで得たフリースローをきっちり2本入れる。
直後のオフェンスでもジャンパーを沈めるなど、わずかな時間で4得点を稼ぎ逆転に成功した。
終盤に向けて拮抗した展開となったが、ベクトンがオフェンスファウルを含め終盤に2回の個人ファウルをコールされるなど、後味が悪い中で33-36と横浜は3点リードを許して後半に向かう。
後半に入って、横浜はファウルトラブルのベクトンではなく#22秋山皓太をコートへ送り込み、#10アキ・チェンバースが4番で起用された。
しばらくは我慢ができたものの、ゴール下ががら空きになってしまい、A東京#15竹内譲次にはカットイン、#53アレックス・カークもインサイドを割ってバスケットカウントを決められるなど、41-48までリードを広げられる。
終盤に向けて、横浜は個人ファウルが増えてしまい、A東京にきっちりとフリースローを入れられるなど48-59と11点差とされて、最終Qへ向かう。
4Qに入ると、竹内のバスケットカウントで52-64と12点差まで広げられた横浜だったが、ここから猛攻が始まる。
チェンバースの得点に始まり、#2ケドリック・ストックマン・ジュニアもジャンパーで加点、秋山も3pで続き61-64と3点差まで接近した。
横浜はここから逆転を見据えたものの、得点差は詰まらず65-72でA東京に敗れて、このカードを連敗となってしまった。
様々なアイディアを駆使して40分間全力でプレーすること
GAME2で横浜は敗れたものの、王者を追い込むことはしっかりできていた。
2Q立ち上がりから須藤の攻守にわたる激しいプレー、4Qでは12点差から3点差まで追い上げ、さらにスモールラインナップをするなど、様々な組み合わせを駆使した。
結果としては敗れたものの、ストックマンや須藤が若手らしく思い切ったプレーをしたことや#81小原翼も日本人ビッグマンとして泥臭さを見せてくれた。
昨シーズンまでの横浜は、ある程度選手を固定して戦っていた。
しかし、今シーズンは若手も起用されるなど、ベンチメンバーも含めて全員で戦っている様子が伺える。
カイルHCはGAME2の試合前に「継続力」についてチームで話をしていた。
「40分間継続して全力プレーができたのではないかと思います。GAME1ではディフェンスでミスが多かったので、ミスが減ることを目標とし、ディフェンスのローテーションをどう継続させるかを話しました」と試合前の様子を明かした。
4Qで追い上げていたシーンでは、菊池のドライブに対してベクトンがブロックショットを炸裂させるなど成果も残す。
オフェンスでもスペーシングを中心に修正をしていた。
横浜はこの試合の時点で、#1パトリック・アウダと#4ロバート・カーターがコロナ禍の影響でチームに合流できておらず(アウダは19日にチームへ合流)、キャプテン#46生原秀将もケガから復帰ができていない。
そのため、インサイドで戦っていたベクトンやモリスの負担をどう減らすのかも重要だった。
ベクトンとモリスは同時にスタート5で起用されていたが、負担の軽減からか2人が同時にコートへ立つ時間は少なかった。
一方で、秋山や須藤を入れて、チェンバースを4番で起用するなど、スモールラインナップで臨むシーンもあったのである。
「選手が3人欠けているので、練習の中からいろんなことに挑戦しないといけない状況だった。スモールラインナップにしてみて、違うことを試したときにどう相手がリアクションをするのかなどもやってみた」
まだ合流して間もないというのに、様々な選手を起用して、チームのバリエーションを増やそうとしていた。
「アウダらが合流すれば、ベクトンがファウルトラブルになっても替えがいますから。今後はそこまで大変にはならないかなと思いますけど、もっと色んな事に挑戦してみたいです」
第3節で対戦したA東京は過去に2度リーグ戦を優勝し、昨シーズンも東地区1位で終えている。
いわば完成されたチームである。
そんなチームに対して、横浜は指揮官らがコロナ禍で合流が遅れて選手も3人欠けていた中、GAME2では最後に追い詰めることができて、ストックマンや須藤のような若手で可能性のある選手も出てきた。
まさに伸び代しかないというのはこういうことだろう。
そしてカイルHCはベンチメンバーも含めて全員でバスケをしようとする姿勢が垣間見えて、様々なアイディアも披露してくれた。
この部分においては「もっと練習していけば修正や強化が可能になる」とカイルHCも手応えを掴んでいる。
しかし、王者を追い詰めたとしても負けてしまえば成績に直結しない。
可能性のあるチームから飛躍を遂げたチームへ脱却させるためにも、一つでも多くの白星を重ねる必要があることを忘れてはならない。
これからカイルHCがどんなバスケットを私たちに見せてくれるのか。
そして、厳しい東地区でチャンピオンシップ出場圏内へどのように導いてくれるのか。
残り54試合でその結果がわかることになるだろう。