文・写真 マンティー・チダ
Bリーグ横浜ビー・コルセアーズは12月25日、大阪エヴェッサと横浜国際プールで対戦して88-76で快勝。前日に続きホーム戦勝利で3連勝として中地区2位に浮上した。
デビン・オリバーが後半だけで13得点とスコアメイクに成功
2連勝で迎えたホーム大阪戦GAME2。
横浜BCは前半を41―31とリードをして折り返す。
「セカンドチャンスとターンオーバーからの失点により、気持ちが乗らないまま前半が終わってしまった」と横浜BC青木勇人HCは、前半の修正ができるようにチーム内で意識の統一を図っていた。そして、後半開始早々から#5河村勇輝がバスケットカウントなど5得点を積み上げると、#23キング開、#6赤穂雷太と続き、#15デビン・オリバーがディフェンスリバウンドからの速攻を決めて、4ポゼッション連続得点でリードを広げる。
オリバーは3Qだけでフィールドゴール成功率100%の13得点とスコアメイクにも成功。チームも3Q でリードを広げて大阪に完勝。これで中地区2位に再び浮上した。
この試合で横浜BCは選手のタイムシェアが機能し、プレータイムが25分を超えた選手は誰もいなかった。まさにチーム全員が各々の役割を果たした「全員バスケ」だったのである。
ここにきて上手く嚙み合っている
12月に入ってから連戦が続いていた横浜BC。#14大庭岳輝が負傷し、河村やキング、#1パトリック・アウダ、#9森川正明が体調不良などで欠場するなど、少ない選手の中でやりくりしながら厳しい局面を乗り越えてきた。そんななかで、シーズン開幕からスタート5に名を連ねてきたオリバーが、ここにきてチームでは欠かせない存在になっている。
「デビンのヨーロッパにおける試合を見ているといろんなことができる選手だと認識していました。うちのポイントガード陣とスピード感がすごく合っている」と青木HCはオリバー獲得の経緯を明かした。
昨季はB1仙台(当時はB2)でプレーし、日本のリーグでは2年目を迎えていたオリバー。今季から横浜BCに移籍し、ようやくチームにフィットしてきた。8人で戦った12月14日の三河戦で18得点をあげてからは、リバウンドとのダブルダブルでチームに貢献。「チームメートに若手が多く河村のようなスーパースターがいる中で、自分の役割が分かってきた。誰がシューターとして起用されるのか、自分のどういったプレーからお互いのケミストリーを生み出せるのか、ここにきて上手く嚙み合っている」とオリバーはチームにおける自分の立ち位置を理解していた。
「バーサタリティ(多彩)」と青木HCはオリバーをこう表現する。まさに何でもできるオリバーは、青木HCから「ある程度自由を与えてもらっている」と助言を受けていた。
「チームが得点を必要とするときには自分が得点するし、ディフェンスが自分に寄ってきたときはキックアウトしてウイングの選手に繋ぐなど、オールラウンダーとして全体的にできるようになってきたし、それが自分の強み」とまさにチームにおけるオリバーの役割が明確になってきたのである。
ビッグマンと日本人選手をつなぐことができる選手
「あの身長(203cm)でディフェンスリバウンドをとってからプッシュできるのはすごく良いこと」と青木HCが評価する通り、オリバーの良さはディフェンスリバウンドにある。
横浜BCはリバウンドから速い攻撃が売りで、河村や#18森井健太が一気にフロントコートまでプッシュできるのだが、オリバーも役割を全うできるのであれば、チームにとっても選択肢が増えるのでありがたいことだろう。
さらに、リバウンド数ではチームでジャクソンに次いで2番目の数字を残している。「ビッグマンと日本人選手をつなぐことができる選手」とどこでも顔を出せる器用さが売りだ。
オリバーは「リバウンドにはこだわりがある」とした上で、これからは「ディフェンスやチームを鼓舞する声掛けをしていきたい」と自らに課題を提示する。
「普段からおしゃべりなのですが、試合中となれば苦しい時間帯でそれができないこともあるため、チームメートに声を掛けながらリーダーシップを発揮していきたい。40分間を通してそれができる選手になりたい」とオリバーはリーダーとしてチームを引っ張る覚悟だ。
青木HCとの関係においても「ポジティブに(青木HCから)声掛けをしてもらえます」とした。
このやりとりから見ても、コーチと選手の関係性に良好さがうかがえる。まさにチームとして良い方向に向かっている証拠だ。チームにフィットしてきたオリバーが更なるケミストリー構築のために自らがリーダーシップを発揮すれば、もっと良いチームになるのは間違いなさそうだ。