文・写真 マンティー・チダ
Bリーグ、中地区2位の横浜ビー・コルセアーズは3月26日、横浜国際プールで信州ブレイブウォリアーズと対戦して84-74で勝利。信州戦今季全勝とともに横浜国際プールの今季最終戦を白星で終えた。中地区3位のサンロッカーズ渋谷が滋賀レイクスに連敗して、SR渋谷とのゲーム差が7となり、クラブ初のチャンピオンシップ(CS)進出へ大きく前進した。
「ジャクソンのインサイドを強調するように」
横浜BCは、CS進出へ後がない信州に前半から速い展開に持ち込まれ、全体的にシュートタッチも悪くてスコアメイクに苦しんだ。リバウンド争いでも主導権を握れず、前半を35-45で折り返した。
後半、追いかける立場の横浜BCは、#10チャールズ・ジャクソンのあるプレーから逆転へのシナリオを描いていく。
#1パトリック・アウダや#15デビン・オリバーが、前半から自らリングへアタックして得点を演出していたのに対して、前半のジャクソンはシュート試投数が少なく、やや精彩を欠いていた。
「前半からローポストになかなかボールを送れない状況」と横浜青木勇人HCが話せば、コート上でプレーしていたジャクソンも「自分が納得できるタイミングでボールが集まって来なかった」と前半を振り返る。
後半に入ると、一転してローポストに入っていたジャクソンへパスが通るようになった。
「ジャクソンのインサイドを強調するように」
ハーフタイムで、青木HCはジャクソンを生かすよう選手へ指示を出していた。
「チームメイトが僕のことを信じてくれて、ボールをローポストに集めてくれた」
ジャクソンはチームメイトから託されたパスを受け取ると、エナジー全開でポストアップから倒れ込みながらも得点を重ねた。「彼はチームのためにプレーをしてくれている」と青木HCが評価するのも納得できる。
こういうシーンが3ポゼッションも続けば、今季最多入場者数の5005人が詰めかけた横浜国際プールのボルテージが最高潮となった。勢いに乗った横浜BCは、#5河村勇輝が3pを2本連続で沈めるなど、61-63と2点差まで追い上げて3Qを終了する。
4Qに入っても横浜BCの優勢は続いた。アウダがダブルクラッチなどで逆転に成功すると、#14大庭岳輝の3p、ジャクソンのバスケットカウントなどでリードを広げ、最終的には横浜BCが10点差で信州に勝利。対信州戦は今季負けなしの4連勝で終えることができた。
この試合では、前半から信州にあっさりとレイアップを決められるなど、横浜BCはディフェンス面で修正を求められていた。ジャクソンも「ハーフタイムでは、選手同士でディフェンスの修正点を話すようにしている。オフェンスは自分たち本来のディフェンスができればついてくるというのが共通認識」とあくまでもディフェンスがベースであることを主張。得点も大事だが、それはチームディフェンスの機能が大前提である。
青木HCは「我慢が求められる中で、最後まで各選手が自分の仕事をコート上で表現してくれた」とこの試合の勝因をあげたものの、「ジャクソンのインサイドを強調した場面はタイミングとして少し遅かった。前半からもう少し見ておいても良かったのかな。自然にまんべんなくボールを散らすことができれば、また違った展開になったのかもしれない」と反省を忘れてはいなかった。
横浜BCは、念願のCS出場へ手が届く位置にある。故障で離脱中の#23キング開や#6赤穂雷太が戦列に復帰できれば、さらにバリエーションが増えることだろう。ただ、勝利のカギを握るのは、この試合でジャクソンが見せたエナジー全開のパフォーマンス、そして強固なチームディフェンスではないだろうか。