文 マンティー・チダ
横浜ビー・コルセアーズは、川崎ブレイブサンダースに連敗を喫し、これで7連敗となった。4日の北海道戦で2試合の出場停止を受けていた#1パトリック・アウダが、12日の川崎戦から戦列復帰。この試合へ向かうまでの気持ち、チームのオフェンスやディフェンスについて伺った。
なんてことをしたのかと自分に不甲斐ない
やはりアウダが入ると、横浜BCの攻撃に動きが出て活性化される。実際、1Q残り7分31秒でコートに入ると、7点ビハインドから#9森川正明の3連続得点を皮切りに、アウダ自身もフックシュートを決めて1点差まで詰め寄った。その後、チームは敗れたものの、アウダはシーズンハイの32得点をあげている。
「2試合自分が出られなかった間は、個人的にも悲しかったです。なんてことをしたのかと、自分に不甲斐ないという想いでした。試合に出られないフラストレーションもありました。11日の試合も仲間は試合に出ていて、自分は出ていなかったので、体も自分の方が元気でした。そういった意味で、今日の試合は本当に助けが必要な時、自分が与えられるように心がけてプレーをしました。勝ちには結びつきませんでしたが、そういった気持ちを持ちながらコートに立つことができていました」
アウダは復帰戦を迎えるなかで、このような心境で臨んでいた。誰よりも試合に飢えていて、誰よりもチームの勝利に貪欲だったことが伺える。
つらい時間帯で誰かがスコアをしないといけないのはわかっている
ここにきて、チームは7連敗。シーズン序盤こそ、粘りを発揮していたものの、強豪との戦いが続く中で勝利を成し遂げることが出来ずにいた。
「ここ数試合負けが込んでいて、今日は100点を与えてしまいましたが、相手のシュートが高い確率で決まっていましたし、こういう試合はいつか起きるという想いで、あまり気にしないようにはしています。長いシーズンですので、チームディフェンスの良かったところを見直して、何が課題かというのを2試合から見つけて、良かった時のチームディフェンスを見直す。次の試合では、課題を克服していく。こういったことは時には起こるという感覚で捉えています」とアウダはチームディフェンスについて、こう分析していた。
そして得点面。アウダ自身も32得点とシーズンハイを叩き出しているが、「相手のオフェンスが一枚上手だった」と川崎のオフェンス力を認める。
「踏ん張らないといけない時間帯で、どちらかと言えば自分たちがカオスの状態にさせてしまった。リードを奪うということでそういった状態になったということは、オフェンスの差かなと思います」と続けた。
「つらい時間帯で誰かがスコアをしないといけないのはわかっている」と前提を述べた上で、「そういった時間帯で相手に喰らいつく、その時間帯でオフェンス、ディフェンスの課題が見つかった良い試合だったとポジティブに捉えるようにしています」とアウダはこの日の敗戦を前向きにとらえていた。
確かに、内容が良くない試合ほど、チームの課題は明確になりやすい。東地区でも上位につける強豪との試合から足りないものが明確になったことは、チームにすれば朗報だろう。ただ、少しでも上位へ行くためには、課題を克服しながら、勝利を求める必要がある。
「つらい時間帯で誰かがスコアをしないといけない」
この日シーズンハイを叩き出したアウダのみならず、全員がこの言葉を肝に銘じなければならない。決して簡単なことではないが、克服しない事には次のステップには進めないだろう。
この後は、王者千葉ジェッツ、滋賀レイクスターズ、西地区首位の琉球ゴールデンキングスと試合が続いていく。リーグ戦折り返しとなる30試合目をめどに、選手全員が「つらい時間帯で誰かがスコアをする」という役目を全うできれば、チームとしての向上は見込めるだろう。