文・写真 マンティー・チダ
後半開始前にコートへ立った森川正明の表情は、鬼気迫るものだった。
横浜ビー・コルセアーズは10月16日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で、後半からの大逆転劇で連敗を4でストップさせた。
後半から始まった横浜BC怒涛の逆転劇は、森川のレイアップから幕が上がる。
「本当にもうやるしかない」「このままでは終われない」
森川は、16日の名古屋D戦もスタート5として出場。開幕から6試合連続でスタート5に名を連ねていたのだが、広島ドラゴンフライズ戦、島根スサノオマジック戦と、本来の動きとはいかなかった。
16日の名古屋D戦も、前半のシュート試投数はわずか2本で無得点と精彩を欠く。森川は「前半、自分としてはなかなか仕事が出来なかった」と振り返った。しかし、後半開始前、コートに立った森川の表情からは、鬼気迫るものを感じた。
「本当にもうやるしかない」
後半、横浜BC最初の得点はリングへ果敢にアタックを仕掛けた森川だった。「このままでは終われない」という気持ちでコートに入っていた森川は、3Qだけで12得点。3pも2本決めるなど、横浜BC逆転劇の立役者となった。
「自分がというよりも、チーム全体でディフェンスも後半激しく入れましたし、チームの流れの中で自分としてもやってやろうという気持ちから自分らしいプレーが出せたことで、すごく良いリズムに繋がったのかなと思います」
リングに向かっていく表情を見ていても、森川は勝利に飢えていた。そして、それは自らも含めてチームの自信にも繋がったのである。
「本当にディフェンスとオフェンスがかみ合った試合でした。自分たちのバスケットが40分間近くできれば、どの相手に対しても勝ち切ることができる。自分達自身もわかっているので。いかに、ああいう風な展開へ自分たちが持っていけるのかが課題でもあります」
森川の言葉からは、油断を感じない。「チームとしても本当に自信に繋がったと思いますので、来週にも生かしていきたい」と続けた。
今季はリーグ戦の成績から下位2クラブとなれば、B2へ自動降格になる。一歩でも間違えれば降格圏内に突入するぐらい、今季は混戦模様となりそうだ。
横浜BCは、後半からのカムバックを果たしたことで、自分たちの強みを再認識することができた。当然ながら、これから対戦するチームからのマークが考えられ、それを上回るカムバック力が備わるのかが求められる。そのためにも、森川の気迫をチーム全体として忘れないことが必要だ。