文・写真 マンティー・チダ
横浜ビー・コルセアーズ(横浜BC)は9月18日、TKCいちごアリーナで宇都宮ブレックスとのプレシーズンゲームに臨み、71-71の同点で試合を終えた。この試合で#30須藤昂矢はスターターに名を連ね、13得点をマークしてアピールに成功。その活躍の裏には、「危機感」常に抱きながら、日々の練習に取り組む姿があった。
自分の強みをわかってきたので、そこを思い切って出していかないといけない
「自分には立ち位置として、確約されたものはない」
須藤は今季を迎えるにあたって、常に「危機感」を抱いていた。
3年目を迎えた須藤を取り巻く環境は大きく変化。昨秋には#23キング開が、今季から日本代表で大活躍した若き司令塔の#5河村勇輝、さらには千葉ジェッツからサイズがありながらハンドラーもできる#6赤穂雷太が加入。つまり、須藤と同世代の選手がガード陣に名を連ねたのだ。
思えば昨季の開幕前、須藤に対する期待は大きかった。ルーキーシーズンの2020年5月に横浜BCと選手契約を結び、シーズン中盤にはシックスマンとして頭角を現すと、2021年3月6日の琉球戦からスタート5に名を連ね、宇都宮、富山相手に2桁得点をあげるなど、チームの得点源へステップアップしていた。
昨季は、出場57試合中49試合でスタート5としてコートに立った須藤。しかし、1試合の平均得点は5.6に終わり、シーズン終盤に2桁得点を獲得することはあったものの、チームの得点源としての役割を果たすまでには至らなかった。
「昨季はどちらかと言えば構想がはっきりしていた。今季は全員が本当に良くなってきたので、嬉しい悲鳴というか、いろんなことが考えられるので」と青木勇人HCのコメントからわかる通り、今季における須藤のポジションは確約されていないことが想像できる。
須藤はそれを肌で感じていたため、冒頭のコメントへ繋がる。終始、取材している間も厳しい表情を崩さない。同世代の選手たちが加入したことも須藤にとっては大きな刺激となっていた。
「自分は在籍3シーズン目。どういう部分において自分が得意で強みなのかをわかってきたので、そこを思い切って出していかないといけない。昨季はピック&ロールからの得点をする頻度が増えていた。このオフシーズンにそこを練習して良くなっている部分もありますので、チャレンジしていきたい」と3年目に臨む心境を明かした須藤は、同世代の選手が多くなったことに対して、自らに「危機感」を募らせていた。
「このままではいけない。ここまでは、お互いに刺激を与え合いながらできている。同世代だとコミュニケーションは取りやすいので、良いチームのケミストリーは作りやすい」
須藤は「自分が出来ないところでチャレンジする意識」を重要視する。
「自分の強みはある程度、(コーチ陣に)アピールができている。ジャレ(イゴア・ジャレティッチAC)さんが入ったことで新しいディフェンスのシステムに取り組んでいるが、細かいところも含めて、全員が同じ感覚でコミュニケーションをとりながら、意思疎通するまでには至っていない。引き続き、コミュニケーションをとってやっていかないといけない」と須藤はチームにおける課題を明確に示していた。
「昨季は自分たちで崩れてしまうとか、もったいない、勝ち切れないというのがあったが、今のところチームを鼓舞する雰囲気ができている」
「自分たちで崩れ切らずに立て直してやっていくのはすごく大事。若いチームなので、それぞれがステップアップすることにチャレンジし、経験を積みながら全員が自信を持つことが重要」と須藤は、横浜BC悲願のCS進出へもとめられてることを話す。
「あとは共通意識をどれだけ高められるのか」と須藤は細かい部分の調整をシーズンまでの課題とした。須藤本人が自覚する「危機感」がチームへうまく作用できれば、チームにとって大きなアドバンテージになる事は言うまでも無いことだろう。