文 マンティー・チダ
Bリーグ1部に所属する横浜ビー・コルセアーズ(以下 横浜)は13日、横浜国際プールで信州ブレイブウォリアーズ(以下 信州)と対戦し58-64で敗戦。
12日のGAME1と合わせて1勝1敗だった。
GAME2の13日は、出だしから両チームともスコアが動かず、前半は重たい試合展開となった。両チームとも守備が持ち味のチーム。
勝敗のカギを握ったのは「エナジーの差」だった。
出だしからスコアメイクに苦しみ信州に惜敗
試合開始から両チームとも得点がなかなかできない展開となり、横浜が6-3でリードした場面で、信州はタイムアウトを請求する。
タイムアウト請求後、#8西山達哉のファストブレイクなどで得点を稼いだ信州に対し、横浜は#4ロバート・カーターのジャンパーで追いかけようとするが、他のシュートはすべて外れて10-17で1Qが終了。
2Qに入っても横浜はシュートまで持ち込むも、タフショットを打たされ得点が伸びなかった。
#18森井健太のファストブレイク、カーターのフローターで横浜が流れを作りかけるも、信州を捉えることができない。
終盤、信州#55アンソニー・マクヘンリーにポストプレーやジャンパーを入れられるなど、前半終了時で17-30と横浜は信州にリードを許す。
後半に入ると、横浜は少しずつ動きが良くなっていく。
#10アキ・チェンバースのカットインとジャンパーで追撃態勢を整えると、チェンバースの3p、#46生原秀将のジャンパーで7点差まで詰め寄る。
その後は横浜に個人ファウルが重なるなど、徐々に信州のリードが広がる。3Q終了時点で36-47と横浜は信州にわずかながら点差を詰めた。
4Qに入って、横浜のエンジンがかかってきた。
チェンバースのレイアップを皮切りに、生原のアシストからカーターのダンク、カーターの3p、カーターから#1パトリック・アウダと繋がり、一気に4点差まで持ち込む。
ここで逆転したい横浜は、カーターのブロックショットからアウダが速攻に持ち込み、バスケットカウントを決めて2点差。
信州に2点を返されるものの、アウダがまたもやバスケットカウントを入れて1点差まで持ち込む。
しかし、ここで横浜がバックコートバイオレーションでチャンスを逃し、続いて個人ファウルから信州が確実にフリースローを決めて勝負ありだった。
GAME1を勝利した油断がGAME2の敗戦を招く
横浜は前日のGAME1では75-57で信州を下すなど、ここにきてチームカラーであるディフェンスを軸とした戦いができていただけに、GAME2の敗戦は悔やまれるところだった。
実際に試合の立ち上がりからスコアが動かない重たい展開。
両チームともスコアメイクに苦しんだが、ロースコアの中で試合を制したのは信州だった。
横浜カイル・ミリングHCは「試合の立ち上がりが良くなかった。信州が自分たちよりもエナジーをもってプレーして、その影響から自分たちのオフェンスがなかなかうまくいかず、タフショットを打たないといけない状況になってしまった」と出だしの悪さを認める。
GAME1で23得点獲得して、GAME2も最後は見せ場を作るが、前半は無得点だったアウダも「信州のディフェンスが前日と何か違ったのかと言われれば、そこまでの差はコートにいても感じなかった。(カイル・ミリング)HCも言っていた通り、前日と同じエナジーでプレーができていなかった」と相手に比べてエナジーを持って戦えていなかったことを明らかにした。
この日は4Qになって、ようやく横浜らしいオフェンスができるようになる。
生原を起点にアウダがスピードを生かした速い展開に持ち込んだ。
カイルHCは「(レジナルド・)ベクトンがファウルトラブルで退場し得点差も考えて、もっと速いペースでバスケットボールがしたいと(伝えました)。アウダやカーターは、ベクトンに比べればスピードがあります。生原はピック&ロールを使うのがとてもうまいので、ピック&ロールからもっと速いペースでバスケットをしよう」と4Qを迎える前にチームへ指示を出していた。
「前半、自分やほかの選手も含めて、パフォーマンスがそこまでひどかったのかと言われれば、そうではなかった。前半に関しては自分たちがしたいバスケットではないということはもちろんわかっていましたし、余っているエナジーを全部出し切ろうとハーフタイムで話をしていました。チーム全体でアクティブにプレーができるようになったことが起点となって、自分たちの持ち味であるディフェンスを試合の中でできるようになりたい。誰か一人に頼るのではなく、助け合いながらやれたことでスティールからのダンクやバスケットカウントが生まれたのだと思います」とアウダはその場面を振り返る。
要するにきちんと「エナジー」をもって臨めば、自分たちのスタイルでバスケットボールができるということだ。カイルHCは「自チームの選手が、今日の試合も簡単に勝てるのではないかという軽い気持ちで臨んでいた」と話せば、アウダも「試合の最初から信州がハードにやってきたということで、彼らもあきらめたくないということを証明してきましたし、反対に自分たちは昨日勝ったということで、楽に勝てるのではないか」と油断をしていたのである。
どんな状況でも「エナジー」を高く保つこと
横浜は、GAME1で敗れた信州が「何とかやり返したい」という強い気持ち(エナジー)をもって臨んでくることを、ある程度分かっていたはずだ。
GAME1を勝利したという安心感がもたらした油断や気の緩みで敗れたのであれば残念である。
「一つのゲームというのを大切にして戦う必要があると感じた週末だった」とアウダも反省していた。
特にホームアリーナである横浜国際プールでは、2連勝を目指すことが必要だろう。
ホームアリーナは横浜を応援する多くのブースターが集結する。
コロナ渦の影響で声を出して応援できないブースターではあるが、彼らの振る舞いはコート上で戦っている選手にとって大きな励みになっているはずだ。
前節の川崎戦では、最後まであきらめない姿勢を見せて接戦に持ち込んだけど、1点差で敗れている。
そういう「エナジー」をもって追い上げる力があるのであれば、ホームアリーナというアドバンテージから尚更「エナジー」を高く発揮しないといけない。
横浜が一皮むけるためには、どんな状況においても「エナジー」を高く保ちながら試合を進められるかが求められるようだ。